相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の税務調査時に受ける質問に関して、気をつけるべき点について、お話します。
午前中は概要の聞き取り
通常、相続税の税務調査は調査官2人でやってきます(経験上1人の場合も何回かありましたし、3人の場合もありました)。
午前中は、亡くなった方の生前の話がメインとなります。
生まれてからどのように住所が変わったか、どのような職業に就いていたか、亡くなられた原因は何なのか、亡くなる前の状況はどうだったのか、などです。
調査官は住所の変遷や勤務先などについては調べてから来ている
調査官は、過去の住所地や勤務地の周辺に所在する金融機関に口座がないか、確認してからやってきています。
これは予想ですが、例えば、住民票は移していないけれども、一時期、他の所に住んでいた、というようなことがあった場合、その情報を税務署は把握していないかもしれません。
しかし、逆に税務署が調べてきて、○○市に住んでいたということが分かっているのに、住所の変遷の質問に対する回答の中に、その○○市が出てこなかったとすると、税務署は「何か隠しているのでは?」と疑うかもしれません。
お金の動きや出来事自体は絶対に隠さない
亡くなる直前に預貯金が動いている場合(多くのご家庭がそうです)、亡くなった方の病状やお体の状態によっては、本人がご自分でお金を動かせなくなります。
それでもお金が動いてるのであれば、親族が亡くなった方から頼まれてお金を動かしているか、頼まれていないけれども(勝手に)お金を動かしているか、のどちらかということになります。
勝手にお金を動かしたとしても、それで逮捕されたりはしませんので正直に話しましょう(申告してあれば大丈夫です)。
隠していると思われると、重加算税のリスクが生じます。
調査官は、生前のお金の動きを調べてからやってきています。
生前に、亡くなった方から相続人にお金が動いている場合、それが「贈与」(非課税の贈与を含む)なのか、それとも「貸付(預け金)」なのか、はたまた「名義預金」なのか、その状況に応じて解釈しなければなりません。
生前贈与があったのであれば、それをきちんと回答しましょう。
「亡くなる前3年以内の贈与しか相続税には関係ないから、それよりもっと前の贈与についてはちゃんと答えなくても大丈夫」ではありません。
「生前贈与はありません」と回答したのに、亡くなった方のお金を元にした親族名義の預金がある、なんていうことになると、それが「名義預金」として認定されてしまうリスクがあります(「贈与はなかったんですよね。ということは名義預金ですね。」)。
また、お金の動き方などによっては、「貸付金」「預け金」と捉えられる可能性もあります。
想う相続税理士
前もって、生前のお金の動きをきちんと整理して、申告書を作成しておきましょう。