【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

共有で相続した土地を分割する場合の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続の際に共有で取得した土地を、その後に分割する場合の注意点について、お話します。


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共有で相続することもある

相続が発生し、相続人である長男と次男が、南北に走る2つの道に挟まれた土地を、長男1/2・二男1/2の持分で相続しました。

その後、この土地を縦に(南北に)真っ二つに切り(分筆し)、西側の土地(上記の図のイ土地)を長男、東側の土地(上記の図のロ土地)を二男が取得しました。

さて、この場合、何か問題が起きるでしょうか?

「土地の譲渡はなかったものとして取り扱う」ということは?

所得税基本通達(一部抜粋)
33-1の7 共有地の分割
個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。

上記を読むと、共有の土地を持分に応じて分割(現物分割)したのであれば、「土地の譲渡はなかったものとして取り扱う」と書かれています。

本来は、共有地の分割は、その性質的には、土地の譲渡に該当する、ということです。

イ土地部分が長男の単独所有になるということは、イ土地部分の持分を1/2所有していた二男から、その持分1/2の譲渡があった、ロ土地部分が二男の単独所有になるということは、ロ土地部分の持分を1/2所有していた長男から、その持分1/2の譲渡があった、ということ(さらに言うと共有持分の交換譲渡)になる、ということです。

でも、「その持分に応ずる現物分割があったとき」は、「土地の譲渡はなかったものとして取り扱う」ため、所得税(譲渡所得)は課税されない、ということです。

時価ベースで概ね等しくないと問題が生じる

上記の「その持分に応ずる現物分割があったとき」という点が重要です。

上記の通達には、次のような注意書きがあります。

(注)2 分割されたそれぞれの土地の面積の比と共有持分の割合とが異なる場合であっても、その分割後のそれぞれの土地の価額の比が共有持分の割合におおむね等しいときは、その分割はその共有持分に応ずる現物分割に該当するのであるから留意する。

「土地の価額の比」「共有持分の割合におおむね等しい」のであれば、「その分割はその共有持分に応ずる現物分割に該当する」と書かれています。

「土地の面積の比と共有持分の割合とが異な」っていてもいい、のです。

上記の例で言えば、土地の面積の比が1:1でなくてもいいのです。

土地の価額の比がおおむね1:1でなければ上記の話にはならないのです。

ですから、上記の例で、イ土地とロ土地の時価の比がおおむね等しくない場合には、所得税や贈与税の課税が生じるケースが考えられますので、ご注意を。

想う相続税理士

安易に共有で相続すると、後で分割する際に、課税上のリスクを回避するために時価評価が必要になったり等、手間がかかる場合がありますので、ご注意を。