相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税の適用を受けていた養子が、その後、養子縁組を解消した場合の相続税額の2割加算の計算について、お話します。
養子縁組をすれば相続時精算課税制度を適用できる
贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の2種類があります。
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
養子も上記の「子」に該当するため、養子に対する贈与でも、相続時精算課税を選択することができます。
相続時精算課税による贈与財産の評価額のうち、基礎控除額を控除した残額が、贈与者の相続の際の相続税の課税対象になります。
養子縁組を解消すると原則として相続税額の2割加算の対象者になる
相続で財産を取得した方(相続時精算課税による贈与により財産を取得した方を含む)が、亡くなった方の一親等の血族等(父母・子・子が亡くなった場合の孫)及び配偶者以外の方である場合には、その方の相続税額は20%増しで計算されます(「相続税額の2割加算」と言います)。
養子は「子」ですから、相続税額の2割加算の対象にはなりません。
ただし、孫が養子になっている「孫養子」の場合には、子(孫の親)が亡くなってその孫が子の代襲相続人になっている場合を除き、相続税の2割加算の対象になってしまいます。
養子縁組をして相続時精算課税による贈与を受け、その後、養子縁組を解消し、相続税額の2割加算の対象者になった場合、20%増しの計算はどのようにやるのでしょうか?
亡くなった時点では養子ではないワケですから、その相続時精算課税による贈与財産(基礎控除額を控除した残額)に対する相続税も、20%増しの計算対象になるのでしょうか?
それとも、贈与時点では相続税額の2割加算の対象者でなかったのであれば、その相続時精算課税による贈与財産(基礎控除額を控除した残額)に対する相続税は、20%増しの計算の対象にならないのでしょうか?
相続税額の按分計算が必要になる
とはいえ、相続税は上記【1】・【2】全体に対して計算されます。
【1】の分の相続税、【2】の分の相続税、というようには計算されません。
このような場合には、全体に対する相続税を、「【1】の贈与財産の金額(基礎控除額を控除した残額)」と「【2】の贈与財産及び相続財産の金額」の比で按分し、【2】に対応する分の相続税についてのみ、20%増しで計算します。
想う相続税理士