相続税の障害者控除。相続税から控除しきれない場合はどうなる? https://t.co/QDEPMqEy0f
— 想う相続税理士 秘書 (@japantaxprosec) July 22, 2021
相続税専門税理士の富山です。
今回は、障害者控除の記事に軽くツッコミたいと思います。
「障害者の方の扶養義務者の方の相続税から控除できる」という一般論的な結論は間違っていない
回答の方にこう書かれています。
障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合があります。
この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
相続税の計算において、相続人の方が障害者である場合には、「障害者控除」というものを適用することができ、「計算された相続税」から「障害者控除額」を差し引くことができます。
「障害者控除額」は結構、大きな金額になることがあるのですが(年齢や「一般」・「特別」の違いによって金額は異なります)、「計算された相続税」の金額が小さいと、せっかく大きな金額を引けるのに、引ききれない、ということが生じます。
例えば、その障害者である相続人の方の「計算された相続税」が100万円、「障害者控除額」が300万円の場合、
100万円-300万円=△200万円→∴0円
となり、このままだと、引ききれなかった200万円が適用できずに終わってしまいます。
そこで、この200万円を、その障害者である相続人方の、扶養義務者である相続人の方(例えば、親や子や兄弟姉妹)の相続税から差し引くことができることになっています。
この話についてのご説明は間違っていません。
想う相続税理士
障害者である相続人の方が財産を相続しなかったらアウト!
質問の後半部分には、このように書いてあります。
しかし、その相続人は何も財産を相続しない予定なので払う相続税がないのですが、その場合に控除はできないのでしょうか?
この「何も財産を相続しない予定」ということに対して、回答では何も触れられていないのですが、結論から言うと、何も相続しないと、扶養義務者の相続税から障害者控除額を差し引くことはできません。
相続税法(一部抜粋)
第19条の4 障害者控除
相続又は遺贈により財産を取得した者(第1条の3第1項第2号から第4号までの規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第1項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、
上記の太字部分をご覧いただきたいのですが、財産を取得しないと、障害者控除の話は始まらないのです。
「障害者控除額」が発生しないのです。
ですから、質問にある「何も財産を相続しない予定」のとおりに財産を相続しないと、扶養義務者の相続税から障害者控除額を差し引くことはできません。
想う相続税理士秘書
想う相続税理士
それを見越して、前もって遺言を作成する場合には、この障害者控除の適用に留意しましょう。
障害者である相続人の方に財産を相続させる内容の遺言になっていない場合には、障害者控除がまったく適用できなくなります。
また、障害者控除が適用できれば、次の相続でも障害者控除が適用できる場合があります。
適用できるかどうかで、相続税が大きく変わる可能性がありますので、ご注意を。
以前の記事で詳しく書いています!
相続税・贈与税を賢く節税するために知っておくべき3つのポイント想う相続税理士秘書