相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった方の生前の土地売却と、相続税申告の関係について、お話します。
所得税がかからなければ問題ない?
亡くなった方が過去に土地をお売りになっていた場合、その取引が赤字(買った値段よりも安く売ったようなケース)だと、譲渡所得(儲け)も発生せず、所得税を納付していないことから、何も気にする必要はない、と考えてしまいがちですが、「その売却により得たお金がどこに入金されているのか」を確認する必要があります。
5,000万円で買った土地を2,000万円で売っている場合、3,000万円の赤字ですが、2,000万円のキャッシュが入ってきているハズです。
その売却代金が金融機関の口座に入金されていて、亡くなった時点の預貯金の残高を構成していたり、そのまま残っていないにしても、何に費消されたのかが通帳を見れば分かるのであれば、問題ありません。
お金はどこに消えた?
しかし、そうではない場合、その土地の売却について何も確認せず、そのまま相続税の申告をしてしまうのは危険です。
税務署に、
- タンス預金として家のどこかに売却代金が保管されているのではないか?
- 売却代金が相続人などの親族の口座に入金されているのではないか?
と疑われる可能性があるからです。
①の場合には、「現金」として申告する必要があります。
②の場合には、それが贈与であれば、贈与税の申告が必要だったかどうか、必要なら申告しているかどうかを確認し、場合によっては、贈与税の期限後申告をする必要があります。
想う相続税理士
想う相続税理士秘書
自分が持っていなければ相続税はかからない?
相続税申告のご依頼をいただき、亡くなった方の過去のお金の動きを確認させていただくと、多額の収入があった場合に、ご自身の金融機関の口座には入金がなく、お子さんやお孫さんの口座に入金があったり、いったんご自身の口座に入金した後、すぐにお子さんなどの口座に振り込んでいるケースに遭遇します。
「自分が持っていると相続税がかかるから」という考えによる場合がほとんどですが、この場合、贈与が成立しているのであれば、上記でお話したように、贈与税の申告の話が出てきますが、贈与が成立していないのであれば、「名義預金」等の相続財産(亡くなった方の財産)として申告する必要があります。
想う相続税理士