【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

遺産分割協議書や遺言に債務・葬式費用の負担者が記載されていない場合にはどうする?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、債務控除の負担者が記載されていない場合の相続税の申告について、お話します。


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債務や葬式費用を負担した場合には相続税が安くなる!

相続税は、土地や預貯金などのプラスの財産から、借入金や未払金などの債務や葬式費用を控除した金額をベースに計算します(具体的には、さらにそこから「遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)」を控除していきます)。

細かい計算過程のご説明は省略しますが、債務や葬式費用を負担した方については、その分、相続税が安くなるようになっています(「債務控除」と言います)。

つまり、相続税を計算する上では、「債務や葬式費用を誰が負担したか」ということが、明確である必要があるのです。

遺産分割協議書に債務・葬式費用の負担者が記載されていない場合が私もあった!

私も冒頭のツイッターの税理士と同じような目に遭ったことがあります。

私の場合には、司法書士の先生に、相続税の申告に使うため、ということをお伝えし、債務・葬式費用の負担者の記載を追加してもらいました。

遺言に債務・葬式費用の負担者が記載されていない場合があった!

お客様のところにお伺いし、遺言があるというので拝見したところ、公正証書遺言が作成されていました。

経緯をお伺いすると、司法書士の先生に遺言の作成をお願いされたとのことで、司法書士の先生が遺言の証人にもなっていました。

内容を確認すると、債務・葬式費用の負担者の記載がありません。

この場合には、先ほどの遺産分割協議書のように、債務・葬式費用の負担者の記載を追加することはできません(もう遺言者は亡くなっていますからね)。

お客様にもその旨お伝えした上で、実際に負担された方において債務控除を適用して相続税を計算し、申告書を作成しました(冒頭のツイッターの税理士と同じですね)。

私のケースとは若干違うところがあるのですが、次のような最高裁の判決があります。

相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合には,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解され,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない。

参考 持分権移転登記手続請求事件裁判所

想う相続税理士

相続税申告のことを考えて、債務・葬式費用の負担者を明確に記載しましょう!
債務については、「相手(例えば銀行など)」があるものなので、遺産分割で負担者を決定しても、それが必ず通用するとは限りませんので、ご注意を。

想う相続税理士秘書