相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった方が株式を所有していた同族会社が、その相続の発生により死亡保険金を受け取った場合の取扱いについて、お話します。
相続によりご遺族ではなく会社が死亡保険金を受け取ったら?
相続で死亡保険金が下り、ご遺族が受け取った場合、その死亡保険金は相続税の課税対象となります。
では、同族会社が会社契約で社長に生命保険を掛けていて、その社長が亡くなったことにより、会社に死亡保険金が入金された場合、会社に相続税はかからないのでしょうか?
国税庁HP(一部抜粋加工)
相続税の納税義務者は、原則として、相続若しくは遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)により財産を取得した個人又は被相続人からの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けた個人である。
会社は個人ではないので、原則として相続税は課税されません。
想う相続税理士秘書
相続税法(一部抜粋加工)
第66条 人格のない社団又は財団等に対する課税
代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。
会社に相続税は課税されませんが、法人税が課税されます。
相続税は課税されませんが、会社が死亡保険金を受け取ることにより、相続税が上がる場合があります。
それは、会社の株価が上がるからです。
上場していない会社の株価はどこを見れば分かる?
亡くなった方が同族会社の社長だったりして、その会社の株式を所有していた場合、その株式も相続税の課税対象になります。
東証プライムなどに上場している株式は、その取引相場で値段(株価)が付いていますので、その取引所の株価をベースに計算します。
上場していない同族会社の株式は、そのような客観的な価格(価値)が出ていないため、自分で株価を計算する必要があります。
その際、その亡くなった方の会社経営に対する影響力(支配力)や、その会社自体の大きさにより、原則的評価方式(純資産価額・類似業種比準価額)や特例的評価方式(配当還元方式)により評価します。
純資産価額とは?
同族会社の社長だったりすると、持株割合的に、その会社に対する支配力が大きいハズです。
そうなると、原則的評価方式により評価することになるモノと思われます。
原則的評価方式は、純資産価額や類似業種比準価額を元に計算するのですが、この「純資産価額」は、ザックリ言うと、資産(プラスの財産)と負債(マイナスの財産)を相殺した後の、「借金返し終わったらいくらお金が残るの?」という金額です。
純資産価額を計算する際、その死亡保険金は生命保険金請求権として資産に計上されます(死亡保険金の振込により、「現預金」という資産がこれから間違いなく増えますよね)。
保険料が保険掛金(保険積立金)として資産計上されている場合には、死亡保険金を計上する分、その保険掛金をないモノとして考えます。
想う相続税理士
その場合には、その死亡退職金の金額を債務として負債に計上(支払退職金を控除した後の保険差益について課されることとなる法人税額等についても負債に計上)します。