相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続が発生した場合、死亡保険金が保険会社から受取人に支払われた場合、税務署がそれをどのように把握するか、ということについて、お話します。
死亡保険金は相続財産とみなされて相続税が課税される
死亡保険金は、亡くなった方の財産ではありません。
生命保険会社との契約に基づき支払われるモノです。
亡くなった方の財産ではないので、他の相続人などに邪魔されずに受け取ることができます。
遺産分割協議も不要です。
しかし、相続の発生を機にお金を受け取ることから、実質的に相続で財産を取得したのと同じ効果があることから、死亡保険金は相続財産とみなされて、相続税の課税対象となります。
保険会社には死亡保険金の支払いを税務署に報告する義務がある
相続税法(一部抜粋加工)
第59条 調書の提出
次の各号に掲げる者でこの法律の施行地に営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この項及び次項において「営業所等」という。)を有するものは、その月中に支払つた生命保険契約の保険金若しくは損害保険契約の保険金のうち政令で定めるものについて、翌月15日までに、財務省令で定めるところにより作成した当該各号に定める調書を当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。ただし、保険金額又は退職手当金等の金額が財務省令で定める額以下である場合は、この限りでない。
一 保険会社等 支払つた保険金(退職手当金等に該当するものを除く。)に関する受取人別の調書
生命保険会社は、「支払調書」というモノを作成・提出することにより、死亡保険金の情報を税務署に提供しています。
100万円基準があり年金形式も対象
相続税法施行規則(一部抜粋加工)
第30条 調書の記載事項等
保険金(法第59条第1項第1号に規定する保険金をいう。以下この項及び第4項において同じ。)の支払をする保険会社等(法第10条第1項第5号に規定する保険会社等をいう。第5項において同じ。)で法の施行地に営業所等(法第59条第1項に規定する営業所等をいう。次項及び第5項において同じ。)を有するものは、同条第1項(第1号に係る部分に限る。)の規定により、保険金の支払を受ける者の各人別に、次に掲げる事項を記載した調書を作成しなければならない。
一 その支払を受ける者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び個人番号又は法人番号(二号以下省略)
3 法第59条第1項ただし書に規定する財務省令で定める額は、100万円とする。
4 保険金又は退職手当金等を年金として支払又は支給を受ける権利については、当該権利が確定したときに法第24条の規定により評価した金額による当該保険金又は退職手当金等の支払又は支給があつたものとして、法第59条第1項の規定を適用する。
上記にあるとおり、100万円以下の場合には、税務署への報告は不要ですが、年金として支払いを受ける場合にも、報告の対象となります。
想う相続税理士