相続税専門税理士の富山です。
今回は、遺留分侵害額の請求について、お話します。
「遺留分」って何?
遺留分とは、一定の相続人(「遺留分権利者」と言います)に対して、亡くなった方の財産について、法律上取得することが保障されている「最低限の取り分」のことです。
亡くなった方が生前に他の方に贈与をしたり、または、遺言により他の方に財産を相続させた(「遺贈」と言います)としても、奪われることのないものです。
「最低限の取り分」ということは、取れなかったら請求できます。
亡くなった方が遺留分権利者以外の方に上記のような生前贈与や遺贈をしたことにより、遺留分権利者が遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、その生前贈与または遺贈を受けた方に対し、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。
これを「遺留分侵害額の請求」といいます。
遺留分侵害額の請求には時効がある
「法律上取得することが保障されて」いても、その請求には期限があります。
民法(一部抜粋)
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
まず、
「相続開始」及び「遺留分侵害」を「知った時」から1年以内
を過ぎると時効になってしまいます。
想う相続税理士秘書
民法(一部抜粋)
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
また、
「知らなかった場合」でも、10年を経過すると、期間的にアウト(除斥期間経過)
になります。
遺留分侵害額の請求をする前に死亡した場合
この遺留分権利者が、その侵害額に相当する金銭の支払を請求する前に死亡してしまった場合、その請求はできなくなり、遺産分けは遺言どおりの内容で完結することになるのでしょうか?
そうはなりません。
この遺留分権利者の「承継人」の方が代わりに遺留分侵害額の請求をすることができます。
Aさんが遺言を遺して亡くなり、Bさんがその遺留分権利者だったが遺留分侵害額の請求をする前に亡くなったという場合、Bさんが遺言を遺したりなどしていなければ、基本的にはBさんの相続人Cさんが、その遺留分権利者の承継人として、遺留分侵害額の請求をすることができます。
民法(一部抜粋加工)
(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
想う相続税理士