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「相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の災害特例」のピンポイント解説③

相続税専門税理士の富山です。

今回は、「相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の災害特例」の減税効果について、お話します。

下記の記事の続きです。

想う相続税理士秘書

「相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の災害特例」のピンポイント解説① 「相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の災害特例」のピンポイント解説②

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被災価額を控除できるから将来の相続税が減税になる

この災害特例を適用する場合、相続時精算課税贈与財産である土地・建物については、「贈与時の価額」をそのまま相続税の課税価格に加算するのではなく、「贈与時の価額から被災価額を控除した残額」を加算する

この贈与時の価額から控除する「被災価額」は、被害を受けた部分の価額(原状回復費用など)から保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される金額を控除した金額とされる

被災価額は無制限に計算できない

この「被災価額」は、土地については贈与の時における価額、建物については災害発生日における想定価額が限度とされている

建物についてのみ「想定価額」が計算に関係してくる

「想定価額」とは、災害発生日における建物の想定上の価額である

「高額な原状回復費用がかかる→被害を受けた部分の金額が大きい→被災価額が多額である」からと言って、将来の相続税が安くなるとは限らない

想定価額がかなり下がっている場合には、その下がった想定価額が限度となり、被災価額が少なく計算されるためである

贈与時の価額が2,500万円の建物について、想定価額が500万円であれば、たとえ原状回復費用が2,000万円と多額に上る場合でも、相続税の課税価格に加算される金額は、
2,500万円△2,000万円=500万円
と計算されるのではなく、
①2,000万円>500万円 ∴500万円
②2,500万円△①=2,000万円
と計算される

つまり、災害発生時までに減価した部分は、被災価額に含まれないようになっている

想定価額が0円の場合には災害特例は適用不可

想定価額は、
A×(B△C)/B
A:贈与時の価額
B:(ザックリ言うと)贈与時の計算上の仮想残存使用年数
C:贈与日から災害発生日までの年数(Bが限度)

で計算される

贈与時の価額が2,500万円(A)の建物が、贈与時の計算上の仮想残存使用年数が10年(B)であり、贈与日から災害発生日までの年数が12年(C)だとすると、災害発生日において、贈与時の計算上の仮想残存使用年数を過ぎてしまっている

計算式に当てはめると、
2,500万円×(10年△※10年)/10年=0円
となる

このような場合(想定価額が0円の場合)には、「被災価額」が想定価額を限度として計算される関係上、0円が限度となり、被災価額は0円となるため、災害特例を適用することはできない

想う相続税理士

大きな被害があったとしても、計算の仕組み上、この災害特例を適用できない場合があるため、まずはザックリとした計算をして、適用の可否を検討しましょう。