相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告における亡くなった方の預貯金口座の探し方について、お話します。
書類や景品から地道に探す
亡くなった方がどの金融機関に口座を持っているかは、「想像力」を働かせながら「物」を探し出し、金融機関に口座の有無を実際に「確認」するしかありません。
「物」とは、亡くなった方が遺された書類や、金融機関の景品です。
通帳やキャッシュカードの他、ATMでお金を引き出した際に使用したと思われる封筒や発行された利用明細、カレンダーやポケットティッシュなど、金融機関の名前があるモノを探しましょう。
「健康食品を定期的に購入していたな。支払は口座からの引き落としになっているかもしれない」
そのような仮説を立てながら探せば、重要な書類も見逃しにくくなります。
ネット銀行の有無を疑う
ネット銀行に口座がある場合、その取引はネット上で完結しているでしょう。
ということは、亡くなった方のスマホやパソコンを確認する必要があります。
ワンタイムパスワードのアプリが入っていないか、インターネットバンキングの画面がブックマークにないか、等を確認しましょう。
振込等の取引が完了すると、取引の受付を完了した旨のメールが金融機関から送られてくる場合があります。
スマホ及びパソコンの受信メールを確認しましょう。
ご家族名義の預貯金についても確認する
税務は形式ではなく、実質で判断します。
亡くなった方の財産は、亡くなった方の名義の財産だけではありません。
一番注意すべきなのは、配偶者名義の預貯金です。
その配偶者名義の預貯金が、どのように形成されたのかを確認しましょう。
その配偶者の方が自分で稼いだのであれば、問題ありません。
また、大金を持っていても、相続で取得したモノであれば、問題ありません。
しかし、過去の収入等に比べて残高が多い場合には、「亡くなった方からお金が行っているのでは?」と税務署に疑われる可能性があります。
それが贈与により移転しているのか、本当にその移転の際に贈与が成立しているのか、実態(実質)を確認しましょう。
「夫婦なんてお財布が一緒なんだから、夫婦間でお金が動いたって、そんなの何も問題にならないでしょ?」と軽く考えるのは危険です。
また、贈与が成立していたとしても、生前贈与加算の対象になれば、相続税の課税対象になります。
配偶者だけでなく、子や孫等へのお金の移転についても、同様に確認しましょう。
想う相続税理士
お客様とお話をしていると、「後から通帳が出てきた」「後から現金が出てきた」というケースはザラです。
相続税なんて関係ない、と思って油断していたら、後から見つかった財産により、相続税がかかるということが分かり、慌てて相続税の申告に取りかかる(ご依頼をいただく)、ということもあります。