相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に、相当の地代を収受している貸宅地がある場合の評価について、お話します。
賃貸している土地の評価は安くなる
自分が使っている土地、誰も使っていない土地を「自用地」と言います。
つまり、他の人が使っていない土地です。
他の人が使っている(つまり、他の人に貸してお金をもらっている)土地は、たとえその土地の所有者だったとしても、自由に使えません。
ザックリ言うと、逆にその土地を借りている人は、「借地権」をゲットしているため、その土地が使えるのです。
ですから、相続税の申告においても、そのように「借地権」をゲットされちゃった土地(貸宅地)については、自用地の評価よりも借地権の分だけ安く評価することができます(「貸宅地=自用地△借地権」)。
借りている人に借地権が計上されない貸宅地もある
土地の賃貸借を開始する場合の課税上の注意点上記の記事でも触れましたが、土地を借りる際に権利金を支払わず、相当の地代を支払っている場合には、理屈上、借地権は発生しません(借地権が発生しないので「権利金の認定課税」を回避できます)。
相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(一部抜粋)
(相当の地代を支払っている場合の借地権の評価)
3 借地権が設定されている土地について、相当の地代を支払っている場合の当該土地に係る借地権の価額は、次によって評価する。
(1) 権利金を支払っていない場合又は特別の経済的利益を供与していない場合 零
借地権が零(0)ということは、「貸宅地=自用地△借地権」の「借地権」が0ですから、「貸宅地=自用地」となり、貸していても自用地として評価することになるのでしょうか?
相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(一部抜粋)
(相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価)
6 借地権が設定されている土地について、相当の地代を収受している場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、次によって評価する。
(1) 権利金を収受していない場合又は特別の経済的利益を受けていない場合
当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額
「貸宅地=自用地」とはならず、この場合の貸宅地は「自用地×80%」で評価します。
借りている人が「同族会社」だと借地権が0にならない!
権利金を支払わず、相当の地代を支払っている借地人が同族会社で、その地主がその会社の社長だったりする場合には、その会社が「自用地×20%」の借地権を有するモノとして、その同族会社の株式を評価します。
相当の地代を収受している貸宅地の評価について(一部抜粋)
標題のことについて、課税時期における被相続人所有の貸宅地は、自用地としての価額から、その価額の20%に相当する金額(借地権の価額)を控除した金額により、評価することとされたい。
なお、上記の借地権の価額は、昭和39年4月25日付直資56相続税財産評価に関する基本通達32の(1)の定めにかかわらず、被相続人所有のI株式会社の株式評価上、同社の純資産価額に算入することとされたい。
想う相続税理士