相続税専門税理士の富山です。
今回は、内縁関係にある方が相続財産を取得する場合の相続税における取扱いについて、お話します。
「税務は実態で判断」といつも言っていますが・・・
このブログで、「税務は実態で判断します。名義は関係ありません。」とよく言っていますが、相続税における「配偶者」は、実態ではなく、名義(形式)で判断します。
「相続税における配偶者=民法における配偶者」です。
民法(一部抜粋)
(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
想う相続税理士
配偶者は、この「届け出」をしている方に限ります。
つまり、内縁関係にある奥様や旦那様は、相続税の世界では、配偶者ではない、という取扱いになります。
内縁の奥様・旦那様に財産を取得させるには踏み込んだ一手が必要
配偶者や子は、遺言がなければ、遺産分割協議による遺産分けにより財産を取得することができます。
内縁関係にある奥様・旦那様は、相続人ではないので、遺産分割協議に参加することができません。
配偶者や子は、遺言がある場合、遺言により財産をもらえることになっていれば、財産を取得できますし、もらえない場合でも、遺留分の侵害額請求をすることにより、一定の金銭を取得することができます。
内縁関係にある奥様・旦那様に相続財産を取得させるためには、基本的には、この遺言を利用することになります。
遺言があれば、内縁関係にある奥様・旦那様でも相続財産を取得することができますが、配偶者に比べ、相続税が割高になります。
内縁の奥様・旦那様の相続税が高くなる理由
内縁の奥様・旦那様は、次のような理由により、相続税が高くなります。
- 配偶者の税額軽減の適用がない
- 死亡保険金の非課税限度額の適用がない
- 小規模宅地等の特例の適用がない
- 相続税の2割増加算の適用がある
- 障害者控除の適用がない
配偶者だと、これが全部逆になりますね。
想う相続税理士秘書
想う相続税理士
内縁の奥様・旦那様に相続財産を取得していただく場合には、相続税の負担に十分ご注意を。