【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

内縁の妻は死亡退職金を受け取ることができる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方の内縁の妻が、その方の死亡退職金を受け取ることができるか、ということについて、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


死亡退職金は相続人のモノ?

亡くなった方が所有されていた土地や建物がある場合、これらは相続財産ですので、相続人が遺産分けの話し合い(遺産分割協議)を行い、誰が相続するかを決めます(遺言がないことが前提です)。

その「誰」に内縁の妻は入っていません。

「相続人」の中の誰かが相続することになります。

内縁の妻は、相続人ではないため、遺産分割協議により相続財産を取得することはできません。

死亡退職金がこの相続財産であれば、相続人のモノですので、内縁の妻は死亡退職金を受け取ることができません。

実は、死亡退職金は「受取人固有の財産」です。

相続財産ではありません。

通常、遺産分割協議により、誰が取得するかを決めるモノではないのです。

ただし、「みなし相続財産」として、相続税の課税対象になります。

想う相続税理士秘書

会社の決まりをチェックする

一般的には、会社が死亡退職金(または退職金)に関する規程等(規程・規定・規則)を定めていて、それに基づき、会社が支給対象者(受取人・受給権者)を判断し、その方に死亡退職金を支給する、ということになります。

その規程等において、「労働基準法施行規則」に準拠すると定めている場合があります。

なぜなら、「遺族補償を受けるべき者」について定めている条文があるからです。

労働基準法施行規則(一部抜粋加工)
第四十二条 遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む。以下同じ。)とする。
②配偶者がない場合には、遺族補償を受けるべき者は、労働者の子、父母、孫及び祖父母で、労働者の死亡当時その収入によつて生計を維持していた者又は労働者の死亡当時これと生計を一にしていた者とし、その順位は、前段に掲げる順序による。この場合において、父母については、養父母を先にし実父母を後にする。
(省略)

ポイントとしては、「婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む」とされていること、つまり、内縁の妻も支給対象者になり得る、ということです。

内縁の妻が死亡退職金を受け取った場合

相続税の申告には、1億6,000万円まで相続税がかからない「配偶者の税額軽減」という特例がありますが、内縁の妻は、この特例を適用することができません。

相続人が受け取った死亡退職金には、
500万円×法定相続人の数
で計算される非課税限度額(非課税枠)を適用することができますが、内縁の妻は相続人ではないため、この非課税枠を適用することはできません。

また、内縁の妻は「一親等の血族及び配偶者」に該当しないため、相続税額の2割加算の対象者となります(相続税が2割増しで計算されます)。

想う相続税理士

「配偶者(妻)」「内縁の妻」がいる場合、どちらが支給対象者になるかについては、別途、確認(検討)すべき点があります。