相続税専門税理士の富山です。
今回は、その一部ががけ地になっている宅地の評価について、お話します。
がけ地は利用価値が低い
宅地を路線価方式で評価する場合、
路線価×面積
をベースに計算します。
もし、その宅地の一部が「がけ地」になっていたらどうでしょうか?
フツーに使えないがけ地部分についても、平らな部分と同じ路線価で計算されたらタマラナイですよね。
そこで、「全体の面積に占めるがけ地の面積の割合」や「がけ地の方位」に応じた「がけ地補正率」というモノが定められており、その補正率を乗じることによって、通常よりも安く評価して申告します。
がけ地補正率は宅地にしか使えない
このがけ地補正率が適用できるのは、「宅地」に限られます。
自宅が建っている土地の中に斜面になっている部分があるからと言って、すぐにがけ地補正率が適用できると考えてはいけません。
その斜面の部分が「宅地の一部」であることが要件となります。
地目が「山林」「畑」「田」「雑種地」などである場合には、宅地部分と分けて、「山林」「畑」「田」「雑種地」などとして評価します。
国税庁質疑応答事例
がけ地補正率を適用するがけ地等を有する宅地(一部抜粋)
がけ地補正率が適用されるがけ地等を有する宅地とは、平たん部分とがけ地部分等が一体となっている宅地をいい、平たん部分である宅地とそれ以外の部分(山林、雑種地等)を別の評価単位として評価すべき場合はこれに該当しません。
がけ地の方位は斜面の向き
前述したように、「がけ地補正率」は「がけ地の方位」によって変わるのですが、この方位とは、「その宅地の中心から見てがけ地がある方向」ではありません。
「斜面が向いている向き」です。
宅地の北側にがけ地があるとします。
足を踏み外すと落ちてしまうがけなら、北に向かって斜面が下っているので、斜面は北を向いています。
この場合の「がけ地の方位」は「北」です。
そうではなく、そびえ立つがけだったらどうでしょうか。
落ちてしまうがけではなく、登るがけです。
この場合、その斜面は南に向かって下がっているので、斜面は南を向いています。
この場合の「がけ地の方位」は「南」です。
斜面の向きが「北西」の場合には、「西」と「北」のがけ地補正率を平均して適用することができます。
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