相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった旦那さんに先妻のお子さんがいらっしゃる場合の相続について、お話します。
想定外の相続人の出現にビックリ!
通常、遺産分けは、相続人間で話し合いにより決定します。
その際に作成する遺産分割協議書には、相続人全員の実印が必要です。
相続人全員の実印が必要なのですが、全員もらったつもりがもらっていない、という場合があります。
それは、自分たちが知らない相続人がいた、というケースです。
亡くなった方が再婚されていて、先妻の方との間にお子さんがいらっしゃる場合には、そのお子さんも相続人になります。
先妻のお子さんにも財産を相続する権利があるのです。
遺産分けをするためには、その先妻のお子さんの実印も必要ということです。
旦那さんは生前に対策を打つことができる
旦那さんが、今の奥様やその間に生まれたお子さんが前妻のお子さんと遺産分けの話し合いをするのが難しい、と危惧される場合には、遺言を作成しましょう。
遺言があれば、遺産分割協議は不要です。
今の奥様やその間に生まれたお子さんに財産を相続させることができます。
ただし、先妻のお子さんにも一定の財産を相続する権利がありますから、先妻のお子さんの遺言による取り分がない、または、少ない場合には、先妻のお子さんは、遺留分の侵害額請求により金銭を要求することができます。
とはいえ、この遺留分は法定相続分よりは少なくなりますので、今の奥様やその間に生まれたお子さんに多くの財産を相続させたい、とお考えの場合には、遺言によりそれを実現することが可能となります。
そして、何といっても、遺言があれば相続手続きが可能ですから、財産の名義書換えができない、という事態は避けられます。
生前贈与をしてしまえばセーフというワケではない
遺言を作るのは面倒くさいから、今の奥さんやその間に生まれたお子さんに、生前にどんどん財産を贈与してしまえ、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、生前贈与は「特別受益」に該当し、亡くなった時点における財産と合算した上で遺産分割の対象となる場合があります。
ただし、今の奥様と間の婚姻期間が20年以上である場合には、ご自宅の土地建物を遺言または贈与により渡した場合には、特別受益に該当しないものとして取り扱うことができます。
想う相続税理士
遺産分けが相続税の申告期限までに完了しない場合には、減税特例の適用が受けられず、通常より高めの相続税を納めることになりますので、ご注意を。