【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税申告における墓地・墓石の取扱い

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における墓地・墓石の取扱いについて、お話します。


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墓地・墓石は相続税の非課税財産

相続税法(一部抜粋)
第12条 相続税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

相続税法基本通達(一部抜粋)
12-1 「墓所、霊びょう」の意義
法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする。
12-2 祭具等の範囲
法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする。

上記にあるとおり、墓地・墓石は相続税の非課税財産に該当するため、原則として、相続税は課税されません。

非課税財産に係る債務は債務控除不可

相続税法(一部抜粋)
第13条 債務控除
3 前条第1項第2号又は第3号に掲げる財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、前2項の規定による控除金額に算入しない。

相続税法基本通達(一部抜粋)
13-6 墓碑の買入代金
被相続人の生存中に墓碑を買い入れ、その代金が未払であるような場合には、法第13条第3項本文の規定により、当該未払代金は債務として控除しないのであるから留意する。

相続開始時点において亡くなった方の債務がある場合には、相続人の方等がその債務の負担をすることになるため、相続税の申告においては、一定の要件に該当すれば、プラスの財産から控除(「債務控除」と言います)して相続税を計算することができます(「債務控除」により相続税の課税対象が減少し、相続税が安くなります)。

ただし、上記にあるとおり、墓地・墓石の購入代金が相続開始時点において未払だった場合には、その未払金については債務控除できません。

墓地・墓石の引渡し前に相続が発生した場合

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
相続開始時点で売買契約中であった不動産に係る相続税の課税

売買契約中に買主に相続が開始した場合

相続又は遺贈により取得した財産は、当該売買契約に係る土地等又は建物等の引渡請求権等(注3)となり、当該被相続人から承継した債務は、相続開始時における残代金支払債務となります。

(注3) 当該引渡請求権等の価額は、原則として当該売買契約に基づく土地等又は建物等の取得価額の金額によりますが、当該売買契約の日から相続開始の日までの期間が通常の売買の例に比較して長期間であるなど当該取得価額の金額が当該相続開始の日における当該土地等又は建物等の引渡請求権等の価額として適当でない場合には、当該相続開始の日における状況に基づき別途個別に評価した価額によります。
なお、買主に相続が開始した場合において、当該土地等又は建物等を相続財産とする申告をしても差し支えありません。この場合における当該土地等又は建物等の価額は、財産評価基本通達により評価した価額によることとなります。

墓地・墓石の引渡し前に相続が発生した場合には、上記を準用すると、「墓地・墓石の引き渡し請求権等」を原則として「取得価額の金額」により計上し、購入代金が未払だった場合には、その未払金を債務控除することになります。

また、「墓地・墓石の引き渡し請求権等」ではなく、「当該土地等又は建物等を相続財産とする申告をしても差し支え」ないため、(まだ引き渡しを受けていなくても)非課税財産として申告することもできますが、その場合には、上記でお話したとおり、「非課税財産に係る債務は債務控除不可」であるため、購入代金が未払だったとしても、その未払金については、債務控除できません。

想う相続税理士

民法上、墓地・墓石は「祭祀財産」として相続財産とは別個に捉えられており、相続税法上もそれに対応した取扱いになっているものと思われます。

民法(一部抜粋)
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。