【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の申告では「現金」という相続財産を計上するのも忘れるな!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告における「現金」の計上額について、お話します。


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現金も相続財産として計上する

「相続財産」というと、土地や預貯金を思い浮かべるかもしれませんが、「現金」の申告も忘れてはいけません。

「預貯金は生前に引き出せば、残高が減るから相続税が安くなる」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、預貯金が減った分、「現金」という相続財産が増えているのです。

「もう手元に現金がない」のであれば申告不要?

「亡くなった時には現金もそれなりにあったけど、お葬式とかで無くなっちゃったよ」という場合、現金は「ゼロ」で申告すればいいのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

原則として、亡くなった時点で所有していた財産が相続税の課税対象になりますので、現金についても、相続税の申告をしようとする今の有高(ありだか)ではなく、亡くなった時点の有高を申告しなければなりません。

亡くなった時点の有高が分からなければ申告不要?

「『亡くなった時点の金額』って言われても、もう何カ月も経っているんだから、分からないよ」という場合、現金は「ゼロ」で申告すればいいのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

今の時点で亡くなった方の現金が100万円あり、亡くなった後にお葬式とかに200万円かかった、そのお金は現金で払ったけれども親族の方などが誰も出していない、という場合、それは200万円の現金(亡くなった方の現金)が100万円とは別にあった(あったけどお葬式とかに使って無くなった)、という可能性が高いです。

もしそうだとすれば、100万円+200万円=300万円を現金として計上する必要があります。

「現金があったはず」と考えられる場合

上記のように、「親族などが懐を痛めることなく、お葬式とかの費用をまかなえた、ということは、それだけの現金があったはずだ」というパターンとは別に、「現金があったはず」と考えられるパターンがあります。

生前に亡くなった方の預貯金口座から出金があった

上記でもお話したとおり、預貯金を引き出せば、預貯金という相続財産の残高は減りますが、現金という相続財産はその分増えるはずです。

つまり、仮にその引き出したお金を使わなかったとすれば、その引き出した分だけの「現金があったはず」ということになります。

入金があったのに預貯金の残高がその分増えていない

亡くなる2年前に土地を2,000万円で売却したのに、売却から亡くなった日までの間に、預貯金口座の残高が増えていない、という場合、それは土地代を現金で受け取った、という可能性が高いです。

もしそうだとすれば、売却に係る経費や税金などを差し引いた分だけの「現金があったはず」ということになります。

想う相続税理士

現金を贈与している場合には、贈与税の課税対象になったり、(相続で財産を取得した方への贈与の場合には)110万円以下でも相続税の課税対象になる場合がありますので、ご注意を。