【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

把握しづらいからこそ現金の計上もれは相続税の税務調査で狙われます

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の申告における「現金」についてお話します。


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預貯金の残高を減らせばOK?

亡くなった時に預貯金の残高があれば、その残高に相続税がかかるというのは皆さんご存知です。

そうなると、相続税を減らすため、その預貯金の残高を亡くなる時までの間に減らそうと考えます。

実際に使ってしまって、その預貯金の残高が減るのであれば問題ないのですが、口座から引き出して現金として保管しておけば、それで申告しなくて済むと考えてしまう方が結構いらっしゃいます。

手元に現金としてあれば現金として申告

相続税の申告の際、計上しなければならない財産は、土地や建物、預貯金だけではありません。

現金も申告対象となる財産です。

「商売やっている人ならともかく、現金なんていくらあるかいちいち数えていないのが普通なんだから、分からないでも通るのでは?ましてや税務署には分からないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、通帳から引き出したのであれば、その引き出した記録というのは残っています。

税務署は、銀行から簡単に過去の取引履歴を取り寄せます。

税務署は、財産を隠したい、現金ならバレないだろう、と考えてしまいがちな一般の方の思考回路を嫌というほど知っています。

「これぐらいならバレないのでは」「バレても言われないのでは」と甘く考えるのは大変危険です。

「仮装隠ぺい」(隠す、事実をねつ造する)になると?

悪質な財産隠しと認められてしまうと、税負担が高くなります。

重加算税の
対象

35%の重加算税が課税されます(相続税の申告すらしていなかったら40%)。

配偶者の
減額特例が
使えない

配偶者が取得した財産については、最低1億6,000万円まで非課税となる「配偶者の税額軽減」という相続税の減額特例があるあるのですが、隠した財産についてはこの特例が適用できないため、配偶者が取得したとしても、相続税が課税がされます(申告していれば相続税がかからなかったのに!)。

本当に現金がない場合だってある!

過去に亡くなった方の口座から多額の出金があったとしても、本当に使ってしまってない場合もあるでしょう。

でも、その使ってしまったことは、税務署は把握していないかもしれません。

そうすると、現金として手許にあるのではないか、と疑って、税務調査に来る可能性があります。

税務調査が来たらきちんと説明できる?

税務調査では、分からないと言えば何でも通用する訳ではありません。

調査官は下調べをしてから税務調査に来ます。

調査官は手の内を全部見せてくれる訳ではありません。

お金の動きを分かっていながら、質問してきます。

亡くなった方の過去のお金の動きについて、もし、税務調査が来たとしても、きちんと説明できるかどうか、1つ1つの出金について確認してみてください。

想う相続税理士

相続税の申告を税理士に依頼するのであれば、その依頼する税理士に、きちんと相談しましょう。

税理士は、過去の税務調査の経験や、税務の考え方を元に、対応を考えてくれるはずです。