相続税専門税理士の富山です。
今回は、非上場株式を評価する場合において、欠損金の繰戻しによる還付の金額があるときの純資産価額の計算方法について、お話します。
出典:TAINS(評価事例708322)(一部抜粋加工)
東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官(令和6年7月作成)
「資産税質疑事例集」
欠損金の繰戻しによる還付とは?
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.5763 欠損金の繰戻しによる還付
青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付
青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができます。
「欠損金の繰戻しによる還付」とは、ザックリ言うと、前回決算の黒字の金額を今回決算の赤字の金額と相殺することにより減少させ、黒字の金額が減少した分だけ減少する法人税の金額の還付を受けることをいいます。
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課税時期が法人税の申告書の提出前である場合
その事業年度において生じた欠損金額について前期に繰り戻すか翌期に繰り越すかは評価会社の任意であるところ、課税時期が直前期末と直前期の事業年度に係る法人税の申告書の提出日との間にある場合には、課税時期においては、評価会社が欠損金の繰戻しによる還付請求を行うか否かは未確定であるから、評価会社が課税時期後に欠損金の繰戻しによる還付請求を行ってその還付金が生じたとしても、1株当たりの純資産価額の計算上、その還付金は資産に計上しない。
今回決算の赤字は、必ず前回決算の黒字と相殺しなければならない(法人税の還付を受けなければならない)、という訳ではありません。
次回以降の決算の黒字との相殺を選択することもできます。
課税時期が法人税の申告書の提出前である場合には、還付を受けるかどうか分からない(確定していない)、ということになりますので、純資産価額の計算上、還付金を資産計上する必要はありません。
課税時期が法人税の申告書の提出後である場合
なお、課税時期が法人税の申告書の提出後であり、欠損金の繰戻しによる還付請求により還付金が生じている場合には、その還付金は資産に計上することになる。
課税時期が法人税の申告書の提出後であり、還付請求をしているのであれば、還付金を受け取ることは確定していますので、その還付金を資産計上する必要があります。
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