相続税専門税理士の富山です。
今回は、不動産の贈与に関して注意すべきポイントについて、お話します。
相続税・贈与税以外の税負担に注意
不動産を贈与した場合には、登録免許税と不動産取得税が課税されます。
これが相続の場合には、登録免許税が贈与に比べて1/5となり、さらに不動産取得税については非課税となります。
相続の場合には、人が亡くなるというやむを得ない理由による財産の移転になるため、これらの税金に係る税負担が軽くなっているのです。
生前に財産を動かす(贈与する)と、思ったよりもお金がかかった、という結果になりがちです。
相続税の特例の適用が受けられなくなる
自宅の敷地を同居親族が相続する場合、一定の要件を満たせば、「小規模宅地等の特例」により、330㎡まで8割引で評価することができます。
ところが、生前に贈与により自宅の敷地の贈与を受けた場合には、そのような特例はありません(配偶者については「贈与税の配偶者控除」という特例があります)。
相続でもらえば余計な贈与税を払わなくて済んだ、という結果になりがちです。
所得税の特例の適用が受けられなくなる
相続により取得した不動産を、相続の発生から3年10ヶ月以内に売却した場合、相続税の一部を経費にすることができます(「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」)。
つまり、売却にかかる儲けを確定申告する際、相続税が経費になることにより、所得税が安くなるのです。
ところが、贈与により取得した不動産については、このような特例はありません。
想う相続税理士
不動産の贈与は、金額的にも大きくなることが多く、失敗した時のダメージもそれに比例して大きくなりがちですから、ご注意を。