相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告のおける小規模宅地等の特例のうち、貸付事業用宅地等の要件について、お話します。
事業的規模ではないと小規模宅地等の特例は適用できない?
貸付事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の適用ポイント上記の記事でもお話しましたが、相続税の小規模宅地等の特例の要件に、所得税の「5棟10室基準」が絡んできます。
「事業的規模」と言われるモノです。
亡くなった方が不動産賃貸業を営んでいて、相続財産の中に貸付事業の用に供されていた宅地等があるものの、その貸付事業が事業的規模ではなく、所得税の確定申告においても、青色申告特別控除は10万円だった、というような場合、その宅地等については、小規模宅地等の特例は適用できないのでしょうか?
必ず事業的規模でなければならないワケではない
上記の記事をご確認いただくと分かるのですが、事業的規模の話が出てくるのは、「相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等」について、小規模宅地等の特例を適用とする場合であり、その場合には「その特例の適用を受けようとする宅地等とは別の宅地等で相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業(事業的規模)を行っていたこと」が要件になるのです。
ですから、亡くなった方が「相続開始前3年を超えて引き続き貸付事業の用に供されていた宅地等」について小規模宅地等の特例を適用する場合には、事業的規模は関係ありません。
事業的規模ならOKというワケではない
亡くなった方が不動産賃貸業を営んでいて、相続財産の中に貸付事業の用に供されていた宅地等があり、その貸付事業が事業的規模であったとしても、その貸付事業が、相続開始前3年を超えて引き続き貸付事業の用に供されていない場合には、小規模宅地等の特例は適用できません。
どうしてこうなったかというと、駆け込み的に亡くなる前に不動産賃貸業を開始し、相続税の節税を図ろうとするのを阻止するためです。
以前から不動産賃貸業を営んでいたのであれば、その土地に特例を適用させてあげるけれども、相続税を安くするためだけに、亡くなる直前に不動産賃貸業を始めたような場合には、事業的規模であろうがなかろうが、特例の適用は認めない、ということです。
想う相続税理士秘書
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