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自宅は固定資産税評価額そのままでOK
他の人に有料で貸していなかった建物、つまり「亡くなった方が自分で使っていた建物」「他の人に『無料』で貸していた建物」「誰も使っていない建物」、そういった建物については、亡くなった年の「固定資産税評価額」がそのまま相続税の申告で使う相続税評価額となります(「固定資産税評価額×1.0」)。
「亡くなった年の固定資産税評価額」を使うことになりますので、その亡くなった「年」の「年度」の固定資産評価証明書(や固定資産税の課税明細書)を用いることになります。
確実に亡くなった年の固定資産評価証明書を取得しましょう
例えば、亡くなったのが12月で、その翌年の4月に市町村役場で固定資産評価証明書を発行してもらう場合、窓口で何も言わなければ、その翌年の、市町村役場に行った時点での固定資産評価証明書が発行されてしまうかもしれませんので、何年度分の固定資産評価証明書が欲しいのか、亡くなった年の固定資産評価証明書が欲しい、ということをきちんと窓口で伝えてください。
貸家は安く評価できる
貸していた建物については、「固定資産税評価額×70%」が相続税評価額となります。
貸すことによって、他の人に使う権利が発生する訳です。
その分、その建物の持主は、その建物が使えなくなるし、いったん貸したら、簡単に立ち退いてもらえなくなるので、その分、財産的な価値が下がっているでしょう、ということで3割引の評価をすることができるということです。
ですから、アパートやマンション、そして一戸建ての貸家などがこの評価方法に該当してくる訳ですけれども、そのアパートなどに入居者がいるからこそ、財産的な価値が下がっているという風に考える訳です。
空室があったらどうなる?
ここで、アパートなどに、相続があった時点で空室があった場合はどうするのか、という問題が出てきます(入居者がいない→財産的な価値が下がっていない?)。
先ほど、3割引の評価をすると言いましたが、それを算式に表しますと、「固定資産税評価額×(1-借家権割合30%)」ということになるんですけれども、実際には、ここに「賃貸割合」というものを絡ませて計算します。
つまり、貸している部分しか安く評価することはできない、ということです。
算式で表しますと、「固定資産税評価額×(1-借家権割合30%×賃貸割合)」ということになります。
例えば、アパートが10部屋あって、3部屋空室になっている、つまり7部屋しか貸していません、という場合には、賃貸割合は70%ということになりますから、「固定資産税評価額×(1-借家権割合30%×70%)」=「固定資産税評価額×79%」ということになります。
全部貸していれば70%評価なんですけれども、それよりも相続税評価額が高くなる、貸していない部分については、通常の評価額ベースになる、いうことになります。
一時的な空室ならOKの場合がある
ただし、一時的に空室となっている場合には、その空室部分も貸している部屋と同じように考えて計算してよい場合があります。
継続的に賃貸されてきていて、亡くなった時点において、一時的に賃貸されていなかったと認められる場合には、3割引評価で計算できるのですが、それに該当するかどうかは、各部屋が亡くなる前に継続的に賃貸されてきている、入居者が退去した後、速やかに新たな入居者の募集が行われている、部屋が空いている間、他の用途に使っていない、空いていた期間が、亡くなった日の前後例えば1ヶ月程度など一時的な期間であった、亡くなった後の賃貸が一時的なものではない、等の要件を満たすか、総合的に判断する必要があります。
マンションはどうやって評価する?
相続財産の中に、購入した分譲マンションがある場合には、どのように評価するのでしょうか?
一戸建ての家のように、専用の庭がある訳ではありませんよね。
また、建物についても、建物全体を持っている訳ではなく、その中の一室を持っているということになりますよね。
結論から言うと、分譲マンションについても、一戸建ての家と同じように、「土地」と「建物」を申告することになります。
賃貸マンションではありませんからね。
お金を出してマンションを購入している訳ですので、土地や建物が財産として計上されます。
この場合の土地を「敷地権」、建物は「専有部分の建物」と言います。
敷地権の評価はどうやる?
土地については、自分の持っている建物部分だけが、その土地に乗っかっている訳ではありませんから、その土地をある意味共有で使っているような形になりますので、普通の土地とはちょっと違います。
しかし、土地の評価においては、通常の土地と比べて、共有で使っているからといって、その分、使うのに制限を受けて、安く評価されるかと言うと、そんなことはありません。
貸している土地、借りている土地、という訳ではありませんから。
どういう風に評価するかと言うと、まず、そのマンションの建設されている敷地全体を、通常の土地と同じように評価します。
一戸建ての場合と同じように評価するということです。
ですから、「路線価方式」や「倍率方式」で評価したりすることになります。
この全体の評価額に対して、「敷地権の割合」をかけることによって、亡くなった方の持分を按分して計算するような感じになります。
専有部分の建物の評価はどうやる?
建物については、全体を評価して、持分割合的なものを掛けるというような評価はしません。
既に各所有者毎の固定資産税評価額が計算されているんです。
固定資産税の課税明細書や、固定資産評価証明書などに記載されている建物の固定資産税評価額が、そのまま建物の相続税評価額ということになります。