相続税専門税理士の富山です。
今回は、複数の方で所有している不動産について、他の所有者の死亡により、その方の持分が移転してくる場合の税務上の取扱いについて、お話します。
相続人がいない場合には相続財産はどうなる?
民法(一部抜粋加工)
(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条 前条(特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。
相続人がいない方の相続財産は、最終的に「国のもの」になります。
しかし、最終的にそうならない場合もあります。
民法(一部抜粋)
(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
複数の方で所有(共有)している財産については、その所有者の1人が亡くなった場合には、その亡くなった方の持分は「他の所有者のもの」になります。
他の所有者に課税されるのは何税?
出典:TAINS(相続事例大阪局R050000)(一部抜粋加工)
誤りやすい事例(相続税関係 令和5年版) 大阪国税局資産課税課
(不動産の共有持分を共有者の死亡により他の共有者が取得した場合)
【誤った取扱い】
9 甲は、知人である乙と共有する不動産を有していたが、乙が死亡し、乙には相続人がいなかったため、当該不動産の乙の共有持分を取得した。
甲は、相続人として共有持分を取得したものではないことから、相続税ではなく、一時所得の課税対象になるとして所得税の申告をした。
他の共有者の死亡により、その方の持分を取得した場合、何の税金が課税されるのでしょうか?
【正しい取扱い】
9 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属することとなるが(民法255)、この場合、その者に係る持分は、他の共有者がその持分に応じ贈与又は遺贈により取得したものと取り扱われる(相法9、相基通9-12)。
したがって、甲が取得した乙の持分は、遺贈により取得したものとして、相続税の課税対象となる。
対価を支払わずに財産が増加するという経済的利益を受け、それが亡くなった方から受けたものであるため、相続税の課税対象となります。
特別縁故者に対する相続財産の分与等が先
裁判所HP(一部抜粋)
最高裁判所判例集
裁判年月日:平成元年11月24日
裁判要旨:共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法九五八条の三に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、同法二五五条により他の共有者に帰属する。
(反対意見がある。)
他の共有者が死亡した場合に、すぐにその方の持分を取得するのではなく、特別縁故者に対する財産分与があれば、そちらが優先される、という最高裁の判例があります。
想う相続税理士