相続税専門税理士の富山です。
今回は、預貯金を相続した場合の考え方について、お話します。
預貯金の死亡日現在の残高に対して相続税が課税される
相続税の申告をする場合には、金融機関で亡くなった方の死亡日現在の残高証明書を発行してもらい、その残高で申告します。
ただし、定期預金等の場合には、死亡日現在に仮に解約した場合に受け取ることができる利子(計算上の死亡日までの利子)の金額(「既経過利息の額」と言います)を加算します。
想う相続税理士秘書
財産評価基本通達(一部抜粋)
203 預貯金の評価
預貯金の価額は、課税時期における預入高と同時期現在において解約するとした場合に既経過利子の額として支払を受けることができる金額(以下203《預貯金の評価》において「既経過利子の額」という。)から当該金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額との合計額によって評価する。
ただし、定期預金、定期郵便貯金及び定額郵便貯金以外の預貯金については、課税時期現在の既経過利子の額が少額なものに限り、同時期現在の預入高によって評価する。
相続で手元に来るのは預貯金の解約・名義変更時の残高
Aさんが9/30に亡くなりました。
相続財産の中にB銀行のC普通預金がありました。
死亡日(9/30)現在の残高(=相続税評価額)は10万円です。
このC普通預金については、唯一の相続人である同居していた長男Dが相続することになりました。
11/30に解約の手続きをしたところ、83,001円が入金されました。
死亡日時点と解約・名義変更時点の残高の相違理由を確認する
- 10/15引き落とし:9月分の介護用品のレンタル料3,000円
- 10/25引き落とし:9月分のデイサービス利用料10,000円
- 11/20引き落とし:10月分のケーブルテレビ利用料4,000円(※9月に契約して初月は無料)
- 解約時の利息:1円
上記のような流れで、10万円が83,001円になりました。
この場合、①②(計13,000円)は亡くなった方が本来お支払いになるべきモノです。
それを長男Dが負担していますから(長男Dが直接は払っていないけれども、「もらう財産=C普通預金」から差し引かれているため、負担しているのと同じです)、この13,000円は債務控除の対象となり、取得財産として10万円を計上する代わりに、13,000円を債務として計上することができます。
これにより、正味(純額)の計上額は、
10万円△13,000円=87,000円
となります。
③は、Aさんが亡くなった後の利用分(長男Dの利用分)なので、長男Dがお支払いになるべきものであるため、債務控除の対象とはなりません。
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