相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告を税理士に依頼する場合の、税理士の選び方について、お話したいと思います。
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あなたが風邪をひいたらどのお医者さんに行く?
相続税の申告をしなければならないが、自分でやるのは大変そうだ、申告を税理士に依頼したい、という場合、どういう基準で税理士を選べばよいのでしょうか?
もしあなたが、風邪をひいてしまい、ドラッグストアで購入した風邪薬を飲んでいたんだけれども、なかなか治らないので、お医者さんに行こうと決めたとしますよね。
その場合、どのお医者さんに行きますか?
眼科のお医者さんには行かないですよね。産婦人科にも行かないですよね。
内科や耳鼻咽喉科のお医者さんに行くでしょう。
あなたが骨折したらどのお医者さんに行く?
もしあなたが、転倒して腕を強く打ってしまい、骨折が心配な場合、お医者さんに行こうと決めたとしますよね。
その場合、どのお医者さんに行きますか?
内科のお医者さんに行かないですよね。耳鼻咽喉科のお医者さんに行かないですよね。
整形外科のお医者さんに行くでしょう。
税理士の世界はお医者さんの世界とちょっと似ている
相続税の申告を税理士に依頼する場合にも、同じようにした方がいいのです。
なぜなら、税理士にも専門があるからです。
税理士事務所はどこも同じように見えるかもしれません。
でも、お医者さんと同じように、「メインでやっている税目」があるのです。
ちなみに、税理士試験の税法科目は、所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税と、9科目あります。
多くの税理士は「法人税」が得意分野
この中で、多くの税理士がメインでやっているのが「法人税」です。
つまり、会社(法人)をメインのお客様にしている、ということです。
会社と顧問契約を結び、記帳代行や帳簿のチェックをしながら、決算書や申告書の作成のお手伝いをしています。
日本には、数多くの中小企業がありますから、そこを狙うのは当然です。
複雑化・専門化する税金の世界
税金の計算は、一般の方が思っている以上に複雑です。
「公平な課税」を実現するため、規模の小さな事業者には特例があったり、国の政策を後押しするために、特定の資産を購入した場合には、税金が安くなったり。
「儲けに一律何%の税金」みたいな単純な話ではないのです。
税務の世界は、税金の法律にのっとって、計算したり、申告書を作成したりする訳ですが、一度勉強したら、それで一生通用するかというと、そんな甘い世界ではありません。
税務の世界は、税務署と納税者のいたちごっこです。
納税者が、税法のスキを見つけて、税金が安くなる仕組みを考えて実行する、税務署がそこに網をかけるために、税法を改正します。
税務の取扱いは、どんどん複雑化していきます。
税理士資格にアグラをかいてちゃやっていけない!
申告の依頼を受ける税理士も、高度な判断を要求されます。
法人税だけでも、どんどん複雑になりますが、会社を相手にしていれば、消費税の改正にも追いついていかなければなりませんし、会社の社長や、個人事業主の申告をやろうとすれば、所得税の勉強もきちんとやらなければなりません。
多くの税理士にとっての「相続税」とは?
さて、このような税理士が、同じように、相続税の勉強もきちんとやろうと思うでしょうか?
毎年コンスタントに決算や申告が必要となる法人や個人を相手にする場合に必要となる法人税などと違い、相続税は、人が亡くなった場合に課税される税金です。
そして、皆さんもご承知のとおり、相続税は、亡くなった方全員に課税されるものではありません。
令和元年分の全国平均で、亡くなった方のうち相続税の申告書が提出された割合は6.8%です。
皆さんが会社や個人事業主をメインのお客さんにしている税理士だったとしたら、こんな「たまにしか申告する可能性がない相続税」にまで一生懸命手を伸ばすでしょうか?
おそらく、会社のお客様の数を伸ばした方が、事務所経営としては効率的なのではないでしょうか?
私の経験上でも、一次相続の時に担当した税理士が今回はやらない、亡くなった方の顧問税理士もやらない、相続人の顧問税理士もやらない、ということで、お話をいただき、二次相続の申告のお手伝いしたことがあります。
私としては、相続税の申告をやらせていただけるので、有難いですし、それぞれの税理士が、自分の得意な業務に絞ってやった方が、お客様にはより良いサービスができるものと思っています。
より良いサービスを受けるためには
税理士は、みんな同じではありません。
それぞれに得意分野を持っています。
相続税申告は、相続税理士に依頼しましょう。
想う相続税理士