【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

アパートの敷地とアパートの駐車場は一体で評価する?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方がアパート経営をしていた場合の、その土地の評価単位について、下記の裁決事例を交えながら、お話します。

出典:TAINS(F0-3-268)
貸アパートの敷地と貸駐車場の敷地の利用面積について、不服審判所が認定した面積を相当であるとして原処分の一部を取り消した事例


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原則として駐車場の地目は雑種地

亡くなった方が、ご自分の土地の上にアパートを建築し、同じ敷地内に駐車場を整備した場合、そのアパートの建物が建っている敷地部分と、駐車場になっている部分は、別々に評価するのでしょうか?それとも一体で評価するのでしょうか?

アパートの建物の敷地部分は、建物の敷地であるため「宅地」に該当し、さらに、その建物が「貸家」であることから、貸家の敷地の用に供されている宅地=「貸家建付地」として、自分で使っている土地に比べて利用制限を受ける分、安く評価することができます(相続税が安くなります)。

駐車場部分もアパートの建物の敷地部分と一体で評価することができれば、その部分も含めて全体を「貸家建付地」として評価することになりますので、さらに相続税が安くなります。

しかし、駐車場部分だけを見ると建物の敷地ではないため「宅地」に該当しません。

通常は「雑種地」として評価します。

ですから「貸家建付地」として評価はできない、というのが原則的な考え方です。

出典:TAINS(F0-3-268)(一部抜粋)
貸駐車場は、通常、家屋を利用する範囲内で使用することが必要な部分とは認められないから、原則として、自用地として評価すべきである。

「宅地」の定義を見てみると・・・

ここで、財産評価通達を見てみます。

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
7 土地の評価上の区分
土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。
(1)宅地
(10)雑種地
(注)地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(↓下記参照)第68条及び第69条に準じて行う。

その駐車場が、アパートの入居者の専用駐車場である場合、アパートの建物の敷地部分と駐車場部分は一体で利用されていますから、雑種地たる駐車場部分も、主たる地目、つまり、アパートの建物の敷地部分の地目である宅地として評価し、アパートの建物の敷地部分と一緒に評価します。

不動産登記事務取扱手続準則を見てみると・・・

不動産登記事務取扱手続準則(一部抜粋加工)
(地目)
第68条
(3) 宅地 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地

上記で「雑種地たる駐車場部分」とお話しましたが、アパートの建物の敷地部分が入居者に利便性等を与えるためには、駐車場部分はなくてはならない土地なのだ、ということになれば、駐車場部分も「宅地」として考えてよい、ということになります。

出典:TAINS(F0-3-268)(一部抜粋加工)
ただし、貸家の敷地内に併設された駐車場であって、かつ、駐車場の契約者及び利用者がすべて貸家の賃借人であり、駐車場が貸家入居者専用の駐車場として利用されるなど、駐車場の貸付の状況が貸家の賃貸借と一体となっていると認められるような場合には、当該駐車場は、家屋と一体として利用されているものと認められるから、全体を貸家建付地として評価することができるものと解するのが相当である

想う相続税理士

その駐車場が、入居者専用の駐車場ではない場合には、上記のような取扱いにはなりませんので、ご注意を。