この記事の結論
小規模宅地等の特例は、農業用の土地にも適用できます。ただし、特例本来の要件を満たすか、そして、上物(うわもの)により除外対象にならないか、の確認に注意が必要です。
「小規模宅地等の特例」は、相続税を大幅に安くできる2大特例の1つ(もう1つは「配偶者の税額軽減」)
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この「小規模宅地等の特例」は、「亡くなった方」または「亡くなった方と生計を一にしていた親族」の、一定の「居住用」または「事業用」の宅地について、最大8割引きで評価できる(1,000万円の土地を200万円で評価できる)という特例
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この特例の適用対象となる土地は、「建物又は構築物の敷地の用に供されているもの」であることが要件
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自宅(居住用)や貸家・アパート(事業用、この場合は5割引き)の敷地について特例の適用を受けるケースが多い
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個人で事業をやっていたり、会社をやっている場合でも、工場などの建物の敷地について、事業用の特例の適用が受けられる
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農業の場合はどうか
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田んぼや畑は間違いなく農業という事業に使われている土地だが、建物や構築物が建っていないので特例の適用対象外
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しかし、農機具や農作物を保管している「農業用倉庫」の敷地であれば、特例の適用対象
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条文上は下記のようになっている
租税特別措置法施行規則
第23条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
法第69条の4第1項に規定する財務省令で定める建物又は構築物は、次に掲げる建物又は構築物以外の建物又は構築物とする。
一 温室その他の建物で、その敷地が耕作(農地法第43条第1項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。次号において同じ。)の用に供されるもの
二 暗渠(きよ)その他の構築物で、その敷地が耕作の用又は耕作若しくは養畜のための採草若しくは家畜の放牧の用に供されるもの
この「次に掲げる建物又は構築物以外」であればいいので、「農業用倉庫」だけではなく、「農作業場」なども特例の適用対象
想う相続税理士
農業用の土地と言うと、田畑ばかりに目が行きがちですが、「農業用倉庫」や「農作業場」などの敷地への特例適用の検討をお忘れなく!