相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告における養子縁組の影響について、お話します。
養子縁組をすると推定相続人(将来の「法定相続人」)の数が増える
民法(一部抜粋)
(嫡出子の身分の取得)
第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
養子縁組をすると、その養子は実子(嫡出子)と同じ立場になります。
民法(一部抜粋)
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
子は(子がいれば、その子は)必ず相続人になります。
「第一順位の相続人」と言われます。
養子の方も、この「第一順位の相続人」になります。
養子縁組により推定相続人(将来の「法定相続人」)の数が増えると相続税が安くなる
「養子縁組をすると相続税が安くなる」ということを聞いたことはありませんか?
養子縁組をすると、相続人(法定相続人)の数が増えますので、下記の非課税枠が増加します。
これにより、相続税が安くなります(場合によっては、相続税がかかるハズだったのにかからなくなる、ということもあります)。
死亡退職金の非課税限度額(非課税枠):500万円×法定相続人の数
遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠):3,000万円+600万円×法定相続人の数
養子縁組は、上記の「非課税枠」以外にも、相続税が安くなる効果を生みます。
法定相続人の数が増えると法定相続分が減ります。
ザックリ言うと「取り分」が減ります。
想う相続税理士秘書
減った「取り分」に相続税の税率が適用されます。
相続税の税率は複数ありますが、「取り分」の大小に応じて、適用される相続税の税率は上下します。
養子縁組により(仮想計算上の)「取り分」が減れば、適用される相続税の税率も下がり、全体の相続税額が安くなります。
相続税を計算する上での養子の数には「制限」がある
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4170 相続人の中に養子がいるとき
2 これらの計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されています。 この法定相続人の数に含める養子の数の制限について説明します。
(1) 被相続人に実の子供がいる場合
1人までです。
(2) 被相続人に実の子供がいない場合
2人までです。
ザックリ言うと、
実子の方がいない場合には、3人以上養子にしても「2人」
養子縁組すればするほど相続税が安くなるということはない、ということです。
想う相続税理士