【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

住宅取得等資金の非課税贈与で贈与税ゼロでも生前贈与加算の対象になる場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における生前贈与加算の注意点について、お話します。


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贈与財産にも相続税がかかる場合がある

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
概要
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与(「相続等」といいます。)によって財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算します。

ザックリ言うと、相続で財産を取得した方は、相続開始前の一定期間(加算対象期間)内に、亡くなった方から暦年課税による贈与により取得した財産がある場合には、相続でもらったのではなく贈与でもらった財産だとしても、その贈与でもらった財産の金額を、相続でもらった財産の金額に加算して、相続税を計算しなければなりません(これを「生前贈与加算」といいます)。

しかし、例外もあります。

住宅取得等資金の非課税贈与は生前贈与加算の対象外

加算しない贈与財産の範囲
被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。
(2) 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額

その贈与でもらった財産が、住宅取得等資金の非課税贈与の適用を受けた現預金だった場合には、生前贈与加算の対象外となります。

住宅取得等資金の非課税贈与で適用した非課税をチェック!

令和5年度税制改正により、生前贈与の加算対象期間は順次延長され、相続開始前「7年」以内に延びる予定ですが、現時点では(現時点で相続が発生した場合には)従来と同じ「3年」です。

相続が発生し、相続で財産を取得することとなり、相続開始前3年以内の贈与を振り返って思い出してみたら、亡くなった親御さんから住宅購入資金の援助としてお金を贈与してもらい、住宅取得等資金の非課税贈与の適用を受け、贈与税がゼロの申告をしていたとします(贈与税がゼロでも申告する必要があります)。

「住宅取得等資金の非課税贈与の適用を受け、贈与税がゼロだったから、その贈与は生前贈与加算の対象外になる」かというと、そうでない場合も想定されます。

「自宅の購入に3,000万円かかるけど、親が援助してくれるというので、非課税の範囲で贈与してもらおうと思った、省エネ等住宅だから1,000万円まで非課税だ、でも、1,000万円じゃ足りない、税理士に聞いたら、暦年課税贈与の基礎控除額110万円も適用できるらしい、ちょっとでも多く非課税でもらいたいから、1,000万円+110万円=1,100万円のお金を贈与してもらった、申告をしたら税理士の言うとおり贈与税はゼロだった」という場合、1,000万円は生前贈与加算の対象外ですが、「110万円は『住宅取得等資金の非課税贈与』を適用した非課税ではない(暦年課税贈与の基礎控除額を適用した非課税である)」ため、生前贈与加算の対象となります。

想う相続税理士

その他の非課税贈与でも同様ですので、ご注意を。