相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税がかかるかどうかの判断には、きちんとした確認が必要、ということについて、お話します。
「お尋ね」が届いても相続税がかからないと信じていれば効果なし?
税務署から「お尋ね」と呼ばれるものが送られてくることがあります。
税務署が「相続税がかかりそうだ」と判断した家に送るモノです(相続税がかかる家なのに、その家には送られてこなかった、なんて場合もありますので、ご注意を)。
この「お尋ね」についてご存知ないため、「ああ、相続があるとこういう案内がどこの家にも来るんだなあ、でも、うちには関係ないな」と考えてしまった方もいらっしゃいます。
相続税がかかる割合は9.6%
令和4年分相続税の申告事績の概要(令和5年12⽉・国税庁)によると、令和4年分の課税割合(=「相続税の申告書の提出に係る亡くなった方の人数」/「亡くなった方の人数」)は、9.6%です。
地方だと、もっと割合は低くなりますが、100人亡くなったら10人相続税の申告をする、という感じです。
自分の家は「相続税は絶対かからない」と考えるのは、近所に100軒お宅があれば、その中の上位10軒には絶対に入らない、という感じになりますでしょうか?
相続税は他人事?
「相続税」と聞いても、自分には関係ない、と思われる方が多いかもしれません。
結果的に相続税がかからなければ問題ないのですが、自分には関係ない、自分の家も相続があったけど、相続税は絶対かからない、と思い込んでいる場合があります。
「相続税は絶対かからない」という判断に根拠がない場合があるのです。
「相続税はお金持ちの家の話、自分の家はそんなにお金持ちではない、だから相続税は関係ない」という感じです。
お金を使っていないからお金がある
「相続税はお金持ちの家の話」という感覚、これが単純に「暮らしぶり」からの判断だと、間違えます。
例えば、隣の家のご自宅が立派だったり、生活が派手だからと言って、その隣の家にお金がある、とは限らないのです。
逆の場合が多いのです。
使わないからあるのです。
質素に生活されているからと言って、かからない、ということはありません。
質素に生活され、お金が残っていて、周りの家が派手に使っていれば、いつの間にか、上位10%に入っているかもしれません。
相続税がかかるかどうかをちゃんと計算により判断する
相続税がかかるかどうかの判断をする場合、まず、全財産をリストアップし、それぞれの財産の「評価」をする必要があります。
例えば、市区町村役場から送られてくる固定資産税の課税明細書の「評価額」は、家屋(建物)の場合には、相続税の申告における評価額と一致することはありますが、土地についてはまず一致しません。
路線価地域であれば路線価をベースに、倍率地域であれば、その評価額を何倍かして(倍率を乗じて)評価するからです。
そして、正味の相続財産の合計額が「遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」という「相続税の非課税枠」を超えるかどうか、きちんと計算する必要があります。
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