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相続税申告における土地の「評価単位」の判定③一団の土地

相続税専門税理士の富山です。

今回は、土地の評価単位を判定する際、地目ごとに評価単位を分けない場合(その2)について、お話します。

この記事の続きです。

想う相続税理士秘書

相続税申告における土地の「評価単位」の判定②一体利用

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【3】一団の土地として評価することが合理的な場合には1つの土地として評価

財産評価基本通達(一部抜粋)
7 土地の評価上の区分
なお、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、40《市街地農地の評価》の本文の定めにより評価する市街地農地、49《市街地山林の評価》の本文の定めにより評価する市街地山林、58-3《市街地原野の評価》の本文の定めにより評価する市街地原野又は82《雑種地の評価》の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価するものとする。

農地や山林を全部まとめて1つの土地として評価する、ということです。

そのように評価する方が「合理的」な場合がある、ということです。

一団の土地として評価することが合理的になる場合とは?

どのような場合に「一団の土地ごとに評価」するかというと、まず、エリア的に、「市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域」に所在していることが要件となります。

そのようなエリアの土地は、「宅地」として利用されることが一番合理的です。

A農地とB山林が並んで所在しているとします。

A農地とB山林の面積をそれぞれ見ると、A農地部分だけ、B農地部分だけを仮に宅地化(「宅地」として利用)しても、その地域の一般的な宅地に比べて面積が狭く、宅地としての価値が出ない、という場合があるかもしれません。

しかし、A農地とB山林の面積を合計すると、その地域の一般的な宅地と同じような土地(同じような形、面積等)となり、宅地としての価値を発揮し得る、という場合、そのA農地とB山林は1つの土地として評価すべき、ということになります。

なぜなら、「市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域」ということは、土地を「宅地比準方式」で評価することになるハズなのですが、そうすると、宅地としての価値が出ない小さな土地として各土地を個別に評価するのではなく、1つにまとめてそのエリアの標準的な宅地として使える状態(宅地としての価値を発揮し得る大きさ、形、道路付け等)で評価する方が、理論的に整合性があるからです。

標準的な宅地の大きさが200㎡前後のエリアに、100㎡の農地と100㎡の山林が並んで所在していた場合、100㎡の農地だけを売っても、売れません。

100㎡の山林だけを売っても、売れません。

でも、、100㎡の農地と100㎡の山林をセットで売れば、売れるでしょう。

買主は、そのエリアの標準的な大きさの宅地が手に入るからです。

つまり、そのエリアでは200㎡が1つの単位(宅地の単位)なのです。

であれば、100㎡の農地と100㎡の山林を1つにして(合計200㎡)、評価するべきなのです。

想う相続税理士

1つの土地として評価すべきなのに、別々の小さな土地として評価してしまうことで、奥行きがない、間口が小さい土地として、奥行価格補正率や間口狭小補正率を適用して評価すると、税務署に財産を過小評価している、と指摘される可能性があります。

また逆に、1つの土地として評価すれば、地積規模の大きな宅地の評価(規模格差補正率の適用による評価減)が適用できるのに、別々の小さな土地として評価してしまうことで、その評価減を適用せず、相続税を過大に納付することにつながる可能性もありますので、ご注意を。