「もらわない」「整理するだけ」なら触ってもいいの?
相続財産は、遺産分けが決まるまでは、相続人全員の共有状態です。
それは、財産価値のあるものだけではなく、書類や身の回りのモノもです。
「相続税の申告期限は亡くなってから10ヶ月」だとしても、自分だけで申告や遺産分けの準備を進めようとしてはいけません。
あなたがお亡くなりになった方と同居していたとしても、お亡くなりになった方に関する書類やモノは、あなたのものではなく、相続人全員のものなのです。
親切心がアダになる
いつも他人にとって面倒なことをやってあげている方は、このような時にも、「自分がまず身の回りのモノの整理をしてあげよう、どんな財産があるか分からないと申告もできないし」と考えてしまいます。
これはやめましょう。
他の相続人から、遺産分けのイニシアチブ(主導権)を握ろうとしている、と見られてしまうかもしれません。
親切心でやることが、かえって他の相続人の警戒心を強めてしまうことになります。
また、書類やモノの整理により、あなたに先に財産を把握されることにより、知らないところで財産をあなたのモノにしていると疑われる可能性もあります。
まずは、相続人全員で集まって、これからやるべきことの流れを把握、共有しましょう。
とにかく早く集まる
最初に集まるのは、財産について何も分からない状態でもいいのです。
遺産分けや財産の把握について、「みんな同じスタートラインに立っているんだな、抜け駆けした人はいないんだな」と相続人同士で認識しあうことがまず重要なのです。
時間を置くと、自分の関知しないところで話し合いが進んでいるんじゃないか、財産が見つかっているんじゃないか、と疑い出してしまいますからね。
相続財産の全体像が把握できるようになってから集まる、ということにすると、なかなか把握できないことから、集まるのがかなり先になってしまう可能性もあります。
その間に猜疑心がどんどん高まります。
「早く」「みんなで」相続の手続きに着手するのです。
年上を立てる
この場合、もし長男がいれば、その長男を立てて、音頭を取ってもらうようにしましょう。
その長男がなかなか重い腰を上げないような場合には、「お兄ちゃん、頼むよ」と、長男を持ち上げるように突っつきましょう。
感情のこじれを避ける
財産をたくさん欲しいと思っているように思われることを避けましょう。
財産をたくさん欲しいと思っていただいても全然構わないのですが、もしそうであれば、遺産分けの話し合いの際に、ご自分の希望を、他の相続人の気持ちを考えながら、主張すればいいのです。
その前の段階で関係性が壊れると、遺産分けの話し合い自体を持つことができない、という最悪のケースが想定されます。
他の相続人がみんな忙しいので、あなたが書類の整理などをやる、ということには、何の問題もないのですが、もしそうするのであれば、他の相続人の同意を得てからにしましょう。
他の相続人に対しては、他人以上に気を遣いましょう。