【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

亡くなった夫の土地の上に夫婦共有の貸家があった場合の相続税申告

相続税専門税理士の富山です。

今回は、土地は亡くなった夫が所有していて、その土地の上に、夫婦共有(夫3/5・妻2/5)の貸家があった場合の相続税申告について、お話します。

賃貸割合(入居率)は100%
妻は夫と生計一
妻は夫に地代を払っていない
という前提でお話します。

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建物は貸家評価

家屋のうち、夫の持分3/5に対応する部分は相続財産として相続税の課税対象になりますが、貸家であるため、借家権割合(通常30%)×賃貸割合(100%)=30%を控除して評価します。

家屋全体の固定資産税評価額が1,000万円であれば、
1,000万円(×家屋の倍率1.0)×3/5(夫の持分)×(1△30%)=420万円
となります。

土地は貸家建付地評価+自用地評価

土地は全体が相続税の課税対象となりますが、2つに分けて考えます。

夫の家屋の持分3/5に対応する部分(400㎡×3/5=240㎡)は、貸家建付地評価となり、借地権割合(40%の地域とします)×借家権割合(通常30%)×賃貸割合(100%)=12%を控除して評価します。

土地が路線価5万円・400㎡の土地(相続税評価額2,000万円=5万円×400㎡・補正率等の適用なし)だとすると、
2,000万円×3/5(夫の持分)×(1△12%)=1,056万円
となります。

妻の家屋の持分2/5に対応する部分(400㎡×2/5=160㎡)は、自用地評価となります。

妻は夫に地代を払っていない(使用貸借である)ため、借地権はゼロとなり、借地権割合等は控除されません。

つまり、
2,000万円×2/5(妻の持分)=800万円
となります。

小規模宅地等の特例の適用はどうなる?

この土地に対する小規模宅地等の特例の適用はどうなるでしょうか?

夫の家屋の持分3/5に対応する部分(400㎡×3/5=240㎡)は、貸家建付地評価となるため、一定の要件を満たせば、貸付事業用宅地等として、小規模宅地等の特例を適用することができます。

妻の家屋の持分2/5に対応する部分(400㎡×2/5=160㎡)はどうでしょうか?

妻は「生計一親族」であり、生計一親族の不動産貸付業の用に供されていた宅地等に該当するため、自用地評価でも、一定の要件を満たせば、貸付事業用宅地等として、小規模宅地等の特例を適用することができます。

想う相続税理士

小規模宅地等の特例は、亡くなった方だけでなく、亡くなった方の生計一親族の事業用または居住用宅地等も適用対象となります。

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等