相続税専門税理士の富山です。
今回は、2つ前の遺産未分割相続の分割が確定したことにより、1つ前(直近)の遺産分割が確定した相続に係る相続税が納め過ぎになった場合の取扱いについて、お話します。
遺産未分割相続に係る相続人が死亡してその死亡に係る相続の分割が先に確定した場合
出典:TAINS(相続事例大阪局WAN2705)(一部抜粋加工)
第1次相続の分割確定に伴い第2次相続に係る相続税額に変動が生じた場合の更正の請求の可否
【照会要旨】
第2次相続(被相続人乙)に係る相続税の申告書の提出後に、第1次相続(被相続人甲)についての分割協議が平成18年4月に確定した結果、被相続人乙が取得することとなった被相続人甲の相続財産が法定相続分よりも少なくなった。
この場合、被相続人乙の相続人であるB及びCは、第2次相続について相続税法32条1号の規定に基づく更正の請求をすることができるか。
甲さんの相続について、相続人であるAさん(配偶者)と乙さん(子)の間で遺産分けの話し合いがまとまらなかった場合、Aさんと乙さんは、法定相続分(各1/2)で財産を取得したものとして、仮に、甲さんの財産が1億円だとすれば、Aさん5,000万円(=1億円×1/2)・乙さん5,000万円(=1億円×1/2)を取得したものとして相続税を計算することになります。
その後、乙さんが亡くなった場合、その乙さんの相続人であるBさん(配偶者)とCさん(子)は、上記にしたがって、乙さんが甲さんの相続において5,000万円を相続したものとして、乙さんの相続税申告をすることになります。
その乙さんの遺産分割が確定し、相続税申告が終わった後、乙さんが甲さんの相続において5,000万円を下回る財産、例えば3,000万円だけを相続する、ということになったとしたら、どうなるでしょうか?
乙さんの相続税申告では、甲さんから5,000万円を相続したものとして相続税を申告・納付していたのに、実際には3,000万円だけしか相続しないということになった、ということです。
相続税を納め過ぎているように見えますよね?
通常、相続税を納め過ぎた場合(納め過ぎた結果となった場合)には、「更正の請求」により相続税の還付を請求することができます。
この場合にも更正の請求をすることができるのでしょうか?
相続税が実質的に納め過ぎになっても還付してもらえない場合がある
【回答要旨】
B及びCは、第2次相続について相続税法第32条第1号の規定に基づく更正の請求をすることはできない。
続き(下記)がいろいろ書いてあるのですが、原則として、更正の請求はできません。
ただし、被相続人甲の相続財産に係る遺産分割が確定したことにより被相続人乙の相続財産が当初申告額より少なくなったにもかかわらず、これを納税者側から是正する手続きがない場合において、例えば、第1次相続の相続人Aが修正申告書を提出しているなど、これを放置することが課税上著しい不公平となると税務署長が認めるときには、調査結果に基づき通則法第71条第2号に規定する「・・・無効な行為により生じた経済的効果がその行為の無効であることに基因して失われたこと・・・又は取消しうべき行為が取り消されたこと・・・」に該当するものとして更正(減額)を行っても差し支えない。
想う相続税理士