【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税がかかる財産だからといって必ずしも相続税の特例が適用できる訳ではない

相続税専門税理士の富山です。

今回は、贈与財産に対する相続税の特例の適用について、お話します。


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親族の方の生活基盤となり得る土地に対する特例

相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があり、大きくは「(1)特定事業用宅地等」「(2)特定同族会社事業用宅地等」「(3)特定居住用宅地等」「(4)貸付事業用宅地等」の4つの適用パターンがあります。

亡くなった方の財産形成の最大の貢献者に対する特例

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4158 配偶者の税額の軽減
概要
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額

ザックリ言うと、配偶者が相続で取得した財産については、1億6,000万円まで相続税がかかりません。

贈与財産に相続税が課税される場合がある

国税庁HP・財産をもらったとき(一部抜粋)
財産をもらったときの税金
個人から財産をもらったときは、贈与税の課税対象となります。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、受贈者(贈与を受けた方)は贈与者(贈与をした方)ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。
「相続時精算課税」は、親子間などの贈与で一定の要件(「相続時精算課税」参照)に当てはまる場合に選択できる制度です。

上記の「暦年課税」贈与により財産をもらった場合において、その贈与が生前贈与加算の対象贈与に該当すると、その財産は相続税の課税対象となります。

想う相続税理士

生前贈与を受け、その後、その贈与者が亡くなった場合に、その贈与者の相続で受贈者が財産を取得し、かつ、その贈与が(現時点の相続であれば)相続開始前3年以内に該当するときは、その贈与は生前贈与加算の対象となります。

上記の「相続時精算課税」贈与により財産をもらった場合において、その金額(贈与時の価額)から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額があるときは、その残額は相続税の課税対象となります。

令和5年以前の相続時精算課税贈与の場合には、相続時精算課税に係る基礎控除額はありません。

想う相続税理士秘書

贈与財産には小規模宅地等の特例は適用できない

亡くなった方が所有していたご自宅に同居していた長男Aさんが、その亡くなった方のご自宅敷地を相続により取得した場合、一定の要件を満たせば、そのご自宅敷地は、特定居住用宅地等として、小規模宅地等の特例を適用することができます。

もし、長男Aさんが生前贈与加算対象期間においてご自宅敷地の生前贈与を受け、そのご自宅敷地が相続税の課税対象になったとしても、小規模宅地等の特例は適用できません。

配偶者の税額軽減は贈与財産に対応する相続税にも適用できる

配偶者が亡くなった方から「暦年課税」贈与により財産をもらった場合において、その贈与が生前贈与加算の対象贈与に該当すると、その財産は相続税の課税対象となります。

配偶者の税額軽減の適用額の計算は、贈与財産の部分に対応する相続税を除外するような仕組みにはなっていないため、贈与財産に対応する部分の相続税についても適用できます。

想う相続税理士

配偶者が、生前贈与加算の対象となる贈与財産について、贈与税100万円を納付していたとします。

その贈与財産を相続税の課税対象に含めて相続税を計算したけれども、配偶者の税額軽減の適用で相続税が0円になったとします。

この場合、100万円の贈与税は還付されませんので、ご注意を。