【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続後に受け取った入院給付金の本来の受取人は誰になっている?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続後に入院給付金を受け取った場合の注意点について、お話します。

出典:TAINS(相続事例大阪局R050000)(一部抜粋加工)
資産課税関係 誤りやすい事例(相続税関係 令和5年版) 大阪国税局資産課税課

(相続開始後に支払を受けた被相続人の入院給付金)
被相続人甲は、被保険者を甲、死亡保険金及び入院給付金の受取人を配偶者乙とする生命保険契約を締結し、保険料を支払っていた。
そして、乙は、甲の死亡後に、死亡保険金だけでなく、甲に係る入院給付金も受け取ったため、この入院給付金も相続財産とした。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応

または はこちらから


亡くなった方の代わりに受け取ったら相続財産

被相続人を受取人とする入院給付金は、被相続人の死亡後に支払われたものであっても、相続税法3条1項1号の保険金には含まれず、被相続人の本来の相続財産となる

上記の入院していた方が受取人となっている入院給付金は、その入院の途中でも請求すれば受け取ることができますが、亡くなる直前の入院に係る入院給付金は、亡くなった後にご遺族の方が請求することになり、その入院給付金は、ご遺族の方の口座に入金されることになります。

これは、本来は亡くなった方がもらうべき(受取人となっていた)ものが、亡くなった時点で未収になっていた(それをご遺族の方が代わりに請求して受け取った)、という訳ですから、その入院給付金は「未収入金」として、相続税の課税対象になります。

死亡保険金ではないので非課税枠の適用はない

上記の入院給付金は、保険会社から亡くなった後に振り込まれるので、何となく死亡保険金っぽい感じがしますが、上記でお話したとおり、未収になっていたものをご遺族が代わりに請求して受け取っただけであり、死亡に伴い支払われる死亡保険金ではありません。

したがって、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は適用できません。

本来の受取人が亡くなった方でなければ相続税の課税対象外

事例の場合には、乙が契約上の受取人として受け取るものであることから、本来の相続財産にも該当せず、相続財産とはならない。

亡くなった方の代わりに請求して受け取るのではなく、相続人の方が受取人になっていたもの(死亡保険金に該当するものを除く)を、相続人の方が受取人の立場として請求して受け取るのであれば、これは自分のものを自分で請求して受け取っただけですから、相続税の課税対象とはなりません。

想う相続税理士

所得税などの課税対象にもなりません。

なお、当該入院給付金については、贈与税や所得税も課されない。

所得税基本通達(一部抜粋)
9-20 身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等
令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。
(注) いわゆる死亡保険金は、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」には該当しないのであるから留意する。