相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続放棄をした場合にも、相続税の申告が必要な場合について、お話します。
相続で債務を絶対に負担したくなかったらどうすればいい?想う相続税理士秘書
死亡保険金は相続税の課税対象
上記の記事でもお話したとおり、死亡保険金は相続放棄をしても受け取れるのと同時に、相続税の課税対象となります(保険料を亡くなった方が負担していた、という前提です。)。
相続人が取得した死亡保険金には、全体で
500万円×法定相続人の数
で計算される非課税枠を適用することができます。
ただし、この非課税枠を適用しても相続税がかかる場合、相続放棄をしても、相続税の申告が必要となります。
相続税の申告をする、ということになれば、他の相続人にその死亡保険金の受取りがバレます。
死亡保険金+生前贈与で生前贈与も他の相続人にバレる場合がある
死亡保険金を受け取った方が、相続開始前3年(令和5年度税制改正により順次「7年」に延長)以内に亡くなった方から生前贈与を受けている場合、その生前贈与財産も相続税の課税対象となります(「生前贈与加算」といいます)。
生前贈与だけであれば、相続税の申告は必要ないのですが、死亡保険金を受け取った場合には、生前贈与加算の対象者となるため、死亡保険金+生前贈与財産が相続税の課税対象となり、相続税がかかる、ということになれば、相続税の申告が必要となり、他の相続人に死亡保険金の受取りのみならず、生前贈与もバレることになります。
なお、この場合の死亡保険金が非課税枠の範囲内の場合(相続税がかからない場合)だったとしても、生前贈与財産は相続税の課税対象になります。
死亡保険金を所得税課税のパターンで受け取る
相続が発生し、死亡保険金を受け取った場合でも、その生命保険契約の保険料をご自分で負担している場合には、その死亡保険金には相続税は課税されません。
所得税の課税対象になります。
亡くなった方が保険料を負担するのではなく、亡くなった方から現金の贈与を受け、その現金を元手に(保険料の支払いに充てて)自分で保険に加入するのです。
このパターンであれば、死亡保険金が相続税の課税対象にならないことにより、生前贈与加算の対象外となるため、死亡保険金だけではなく、生前贈与財産にも相続税が課税されないことになります。
相続時精算課税を適用して相続放棄をした場合
相続時精算課税を適用した場合でも、相続放棄をすることはできます。
この場合には、その相続時精算課税を適用した後の課税対象贈与は、相続税の課税対象となります。
相続放棄をしても、過去の贈与が無効になる訳ではありません。
想う相続税理士