【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

市街地農地の評価におけるセットバック部分の減額と宅地造成費の控除の適用順位

相続税専門税理士の富山です。

今回は、市街地農地を評価する場合における、セットバック部分の減額と宅地造成費の控除の適用順位について、お話します。

出典:TAINS(評価事例708322)(一部抜粋加工)
東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官(令和6年7月作成)
「資産税質疑事例集」


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面している道路の道幅が狭いと評価額が下がる場合がある

財産評価基本通達(一部抜粋)
24-6 セットバックを必要とする宅地の評価
建築基準法第42条第2項に規定する道路に面しており、将来、建物の建替え時等に同法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地の価額は、その宅地について道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(算式)
将来、建物の建替え時等に道路敷きとして提供しなければならない部分の地積/宅地の総地籍×0.7

建築基準法においては、原則として道路の中心線から左右に2mずつ後退した線が道路の境界線とみなされるため、将来、建物を建て替える場合には、その境界線まで建物の敷地を後退(「セットバック」)しなければならないことになっています。

このセットバックすべき部分については、通常の評価額からその70%相当額を控除します。

農地は1㎡当たりの造成費を控除して評価する

財産評価基本通達(一部抜粋)
40 市街地農地の評価
市街地農地の価額は、その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。

例えば、路線価地域に所在する農地について、単純に路線価×面積で評価すると、宅地として評価するのと同じになってしまいます。

農地は造成しないと宅地にならない、農地は造成をすれば宅地になる、つまり、
農地の評価額+造成費の金額=宅地の評価額
である、と考えられるため、この式を変換して、
農地の評価額=宅地の評価額△造成費の金額
と考え、宅地として評価した金額から造成費の金額を控除することで、農地の評価額を求めます。

セットバック部分の減額と宅地造成費の控除の適用順位は?

セットバックを必要とする宅地の評価(評基通24-6《セットバックを必要とする宅地の評価》)を行い、その後、宅地造成費相当額の控除を行う。

セットバック部分の減額を通常の方法で先に適用し、宅地造成費の控除は後から適用します。

宅地造成費の控除は、セットバック部分も含めた面積で計算します。

想う相続税理士

農地評価(宅地評価△宅地造成費)をした後にセットバック部分の減額をすると、セットバック部分の減額の単価が下がってしまいます(評価額が過大になってしまいます)ので、ご注意を。