相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税対策としての生前贈与について、お話します。
想う相続税理士秘書
相続財産を減らすために生前贈与をする
相続税は、亡くなった時点の財産に対して課税されます。
ということは、亡くなる前に贈与(生前贈与)してしまえば、相続税の課税対象が減り、相続税も安くなる、ということになります。
相続税対策として生前贈与をする基本的な理由は、ここにあります。
贈与税は相続税の補完税である
税務署も納税者が上記のように考えることを知っているので、財産の移転を「相続」ではなく「贈与」に転換した場合(生前に贈与した場合)には、税負担が高くなるように課税体系を設計し、相続税課税に誘導しようとしています(具体的には、贈与税の税率を高くし、基礎控除額を小さくしています)。
では、相続税対策として生前贈与すると、税負担が高くなって、結果的に損してしまうのでしょうか?
「相続」と「贈与」の違い
「相続」は、時期を選べません。
それに対して、「贈与」は時期を選べます。
また、その財産(の金額)も選べます。
それにより、相続よりも低い税負担で贈与することが可能となります。
亡くなった時に1億円あると、1億円に対して一度に相続税が課税されますが、1億円を1,000万円ずつ10回(10年)に分けて贈与すれば、1,000万円に対する贈与税課税で済みます。
もちろん、10回贈与税が課税されますが、適用される税率が低ければ、×10しても一度の相続税よりも税負担が低くなる場合があります。
生前贈与加算に注意
税務署も、上記のように生前贈与により相続税の節税ができることを知っています。
そこで、相続税の計算に「生前贈与加算」という制度を設けています。
相続で財産を取得した方が、その亡くなった方から相続開始前3年(順次延長され7年)以内に取得した財産の価額は、相続税の課税価格に加算される(贈与財産が相続税の課税対象になる)のです(相続開始前3年超贈与については、全体で100万円を控除してから加算されます)。
ということは、やっぱり相続税対策として生前贈与しても効果がないのでしょうか?
生前贈与加算の対象にならない生前贈与をする
生前贈与がすべて生前贈与加算の対象になる訳ではありません。
贈与時期が「相続開始前3年(順次延長され7年)以内」に該当しないようにすればいいのです。
つまり、早期に贈与を実行することが肝要です。
また、生前贈与加算の対象になるのは、「相続で財産を取得した方」が贈与により取得した財産なので、「相続開始前3年(順次延長され7年)以内」に贈与により財産を取得しても、相続で財産を取得しなければ、その贈与財産には相続税は課税されません。
想う相続税理士