【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続登記をしなければ相続税は課税されない?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続と相続税の納税義務の関係について、お話します。


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財産を取得しなければ相続税は払えない?

内閣府HP(一部抜粋加工)
相続税の課税根拠に関する諸説
○社会政策面を強調する説
①社会政策説
社会に存する富の分配の不公平を是正して、その公正を期すために課するものであるとする説
②偶発的所得説(不労利得説、負担能力説)
相続によって財産を取得することは一種の不労利得であり、これに担税力ありとして課する税であるとする説

上記の偶発的所得説によれば、相続によって働かずに得た利益があれば、それで税金を負担できるでしょ、ということで、相続税が課税される、ということになります。

父Aさんが亡くなり、その相続人は長男Bさん・二男Cさんの2人です。

父Aさんの遺産は土地だけですが、「遺産に係る基礎控除額」(相続税の非課税枠)を超えるため、相続税がかかります。

長男Bさん・二男Cさんが土地の相続登記をしなければ、土地の名義は父Aさんのままです。

相続登記をしなければ、相続したことにならない、自分のものにしたことにならないので、税金を負担する利益もない(父Aさんの名義のままの土地は売却できません)、だから、相続税も納めなくていい、ということになるのでしょうか?

「相続により財産を取得した者」でなければ申告不要?

相続税法(一部抜粋加工)
第27条 相続税の申告書
相続又は遺贈により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格に係る第15条から第19条まで、第19条の3から第20条の2まで及び第21条の14から第21条の18までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10月以内に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない

上記の相続税法の条文を読むと、「相続」「により財産を取得した者」「は」「相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合」「その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10月以内に」「申告書を」「提出しなければならない」とあります。

相続登記をしなければ、「相続により財産を取得した者」には該当しないので、10ヶ月のカウントダウンも開始されず、相続税の申告をしなくてもよいのでしょうか?

亡くなった瞬間に相続人は遺産を相続している

民法(一部抜粋)
(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。

民法(一部抜粋)
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

相続人の方は、原則として、死亡と同時に「相続により財産を取得した者」に該当します。

相続登記をしているかどうかに関係なく、「相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合」には、相続税の申告が必要となります。

想う相続税理士

相続人間で遺産分けの話し合いがまとまらず、相続登記をすることができない、自分の力ではどうしようもない、という場合でも、相続税の申告は必要となりますので、ご注意を。