相続税専門税理士の富山です。
今回は、「取得費加算の特例」の「特例バージョン2」について、お話します。
相続財産を譲渡すると所得税が安くなる場合がある
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
概要
相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡(相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡)した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます(「取得費加算の特例」と言います)。
子が父から相続した土地Aを譲渡し、その譲渡について譲渡益(譲渡所得)が発生した場合、子は所得税の確定申告によりその譲渡益を申告しなければならないのですが、その譲渡が相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までにされた譲渡だった場合には、その譲渡益の計算において、父からの相続に際して納付した相続税の一部を経費にすることができます(経費が増える分、所得税が安くなります)。
相続時精算課税贈与により取得した財産を譲渡した場合
土地Aが、子が父から相続の時に取得したモノではなく、父の生前に相続時精算課税贈与により取得したモノだったとしても、その土地Aを相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合には、取得費加算の特例が適用できます。
生前贈与加算の対象となった財産を譲渡した場合
土地Aが、子が父から相続の時に取得したモノではなく、父の相続開始前3年以内に父から暦年課税贈与により取得した財産で、子が父の相続で財産を取得したことにより、相続税の課税価格に加算されたモノだったとしても、その土地Aを相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合には、取得費加算の特例が適用できます。
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第39条 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例
相続又は遺贈による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項又は第29条第1項の規定による申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格(同法第19条(相続開始前7年以内に贈与があつた場合の相続税額→生前贈与加算)又は第21条の14(相続時精算課税に係る相続税額→相続時精算課税贈与)から第21条の18までの規定の適用がある場合には、これらの規定により当該課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合における譲渡所得に係る所得税法第33条第3項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする。
想う相続税理士