相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に非上場株式がある場合、その株式について、「原則的評価方法」(純資産価額・類似業種比準価額等)と「特例的評価方法」(配当還元方式)のどちらの評価方法を適用するかの株主判定の際に、「中心的な株主」の有無の話が出てくるケースについて、お話します。
想う相続税理士秘書
株主 | 持株数 |
父(死亡) | 4株 |
伯父 | 25株 |
その他少数株主71人 | 71株 |
計 | 100株 |
想う相続税理士
筆頭株主グループの議決権割合は?
長女・二女・伯父は親族ですので、同族関係者として株主グループを構成します。
4株+25株=29株
他の株主(株主グループ)はそれぞれ1株しか所有していませんので、この「長女・二女・伯父」グループが筆頭株主グループになります。
ただし、議決権割合が「29株/100株=29%」と30%未満ですので、この会社は「同族株主のいない会社」として株主判定を進めます。
所属する株主グループの議決権割合は?
「長女・二女・伯父」グループの議決権割合は29%です。
これが15%未満だと、長女・二女が父から相続した株式は、特例的評価方法での評価になります。
しかし、15%以上ですので、次のステップに進みます。
各株式取得者の議決権割合は?
長女・二女の議決権割合は、それぞれ「2株/100株=2%」と5%未満です。
これが5%以上だと、長女・二女が父から相続した株式は、原則的評価方式での評価になります。
しかし、5%未満ですので、次のステップに進みます。
各株式取得者は会社の役員?
長女はすぐに役員となっています。
そのため、長女が父から相続した株式は、原則的評価方式での評価となります。
二女は会社にはノータッチです(役員ではありません)。
この場合、次のステップに進みます。
想う相続税理士秘書
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
188 同族株主以外の株主等が取得した株式
(課税時期において評価会社の役員(社長、理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号、第2号及び第4号に掲げる者をいう。以下この項において同じ。)である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)
株式取得者以外に中心的な株主がいるか?
このステップで、「中心的な株主」の有無を確認する必要があります。
「中心的な株主」は、次のように定められています。
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
188 同族株主以外の株主等が取得した株式
この場合における「中心的な株主」とは、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。
「長女・二女・伯父」グループの議決権割合は15%以上であり、伯父が単独で25%、つまり10%以上所有してます。
つまり、伯父は中心的な株主です。
中心的な株主がいる場合には、この二女が父から相続した株式は、特例的評価方法で評価することになります。
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