相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に駐車場として使われている土地がある場合における、その土地の評価方法について、お話します。
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建物所有目的の借地人に対する土地の貸付けやアパート等の建物の貸付け
土地の所有者が他人に土地を貸して、その他人の方が建物を建てているような場合、その土地は所有者と言えども勝手に使ったり処分できませんから、その制約を受ける分、その土地の所有者が亡くなったときは、その土地は何もない更地よりも(貸宅地評価をすることにより)安く評価できます。
土地の所有者が自分の土地にアパートを建てて、そのアパートを他人に貸している場合、その土地は所有者と言えども勝手に使ったり処分できませんから、その制約を受ける分、その土地の所有者が亡くなったときは、その土地は何もない更地よりも(貸家建付地評価をすることにより)安く評価できます。
青空駐車場としての土地の利用の場合
土地をそのままの状態で、貸し駐車場として他人に使用させる場合、その取引は、土地を貸す賃貸借ではなく、自動車の保管サービスを提供している、ということになりますので、更地と同じ評価になります(安く評価できません)。
アスファルト舗装した貸し駐車場としての土地の利用の場合
土地をアスファルト舗装して、貸し駐車場として他人に使用させる場合でも、取引内容の考え方としては、上記の青空駐車場と同じであるため、更地と同じ評価になります(安く評価できません)。
ただし、「構築物の敷地の用に供されている」ことから、小規模宅地等の特例の適用の可能性があります(評価額を減額できる可能性があります)。
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で財務省令で定める建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるものがある場合には、(以下省略)
駐車場利用者の費用でその土地に車庫等の施設を造ることを認める場合
自動車の保管サービスを提供する、というのではなく、その利用者側で車庫等の施設を自前で建築し、車を停める、というような場合には、土地を貸している、ということになりますので、「賃借権」を控除して評価します(更地よりも安く評価できます)。
こちらの場合も、要件を満たせば、上記と同様、小規模宅地等の特例の適用の可能性があります(評価額を減額できる可能性があります)。
想う相続税理士
租税特別措置法関係通達(一部抜粋)
69の4-4 被相続人等の事業の用に供されていた宅地等の範囲
措置法第69条の4第1項に規定する被相続人等の事業の用に供されていた宅地等(以下69の4-18までにおいて「事業用宅地等」という。)とは、次に掲げる宅地等(相続の開始の直前において配偶者居住権に基づき使用又は収益されていた建物等の敷地の用に供されていたものを除く(当該宅地等については69の4-4の2参照)。)をいうものとする。
(1) 他に貸し付けられていた宅地等(当該貸付けが事業に該当する場合に限る。)
(2) (1)に掲げる宅地等を除き、被相続人等の事業の用に供されていた建物等で、被相続人等が所有していたもの又は被相続人の親族(被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族を除く。69の4-4の2において「その他親族」という。)が所有していたもの(被相続人等が当該建物等を当該その他親族から無償(相当の対価に至らない程度の対価の授受がある場合を含む。以下69の4-33までにおいて同じ。)で借り受けていた場合における当該建物等に限る。)の敷地の用に供されていたもの