【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続空き家の特例と取得費加算の特例は重複適用できる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続した土地建物を譲渡した場合の、所得税の確定申告における特例適用に関する注意点について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


「相続空き家の特例」とは?

相続で取得した亡くなった方の居住用家屋または居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却した場合、儲けが出れば所得税の確定申告が必要になりますが、一定の要件に該当すれば、その売却に係る儲け(譲渡所得)の金額から最高3,000万円を控除して申告することができます(その分、所得税が安くなります)。

これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(相続空き家の特例)」と言います。

「取得費加算の特例」とは?

相続で取得した土地建物や株式等を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合、儲けが出れば所得税の確定申告が必要になりますが、一定の要件に該当すれば、その売却に係る儲け(譲渡所得)を計算する際(譲渡所得は、「売った金額」から「取得費」「譲渡費用」を差し引いて計算します)、相続税額のうち一定の金額を「取得費」に加算して申告することができます(その分、所得税が安くなります)。

これを「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)」と言います。

相続空き家の特例と取得費加算の特例はダブル適用可?

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第35条(相続空き家の特例)
3 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下第6項までにおいて同じ。)による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。以下この項及び次項において同じ。)が、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に、次に掲げる譲渡(当該相続の開始があつた日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るものとし、第39条の規定の適用を受けるもの及びその譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除く。以下この条において「対象譲渡」という。)をした場合には、第1項に規定する居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして、同項の規定を適用する。

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第39条 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)
相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この条において同じ。)による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項又は第29条第1項の規定による申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合における譲渡所得に係る所得税法第33条第3項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする

租税特別措置法関係通達(一部抜粋加工)
35-8 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例等との関係
措置法第35条第3項に規定する譲渡につき、措置法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》の規定の適用を受ける場合には、当該譲渡については同項の規定の適用はないことに留意する。

相続空き家の特例と取得費加算の特例は、ダブル適用できません。

想う相続税理士

「相続空き家の特例」と、相続税申告における「家なき子特例」とのダブル適用については、こちらをご覧ください。
「家なき子特例」と「相続空き家の特例」のダブル適用の留意点