【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

亡くなった方が過去に教育資金非課税一括贈与をしていた場合の相続税申告

相続税専門税理士の富山です。

今回は、教育資金非課税一括贈与と相続税の関係について、お話します。


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教育資金をまとめて贈与しても非課税

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の方が、一定の教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、その方の祖父母などの直系尊属から書面による贈与により取得した金銭をその金融機関等に預け入れ等した場合には、その金額のうち1,500万円までの金額に相当する部分については、金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となります。

その後、教育資金の支払いをした場合には、その領収書等を金融機関等に提出することにより、お金の払い出しを受けることができます。

想う相続税理士秘書

相続税の申告の時には過去に教育資金非課税一括贈与をしていないか確認する

教育資金非課税一括贈与の特例は、その名のとおり、「贈与」に係る「贈与税」が非課税になる特例です。

しかし、贈与したら絶対にもう税金がかからない、というワケではなく、贈与者が死亡した場合に、まだ払い出して使っていない部分(「管理残額」と言います)に対して相続税が課税される場合があります。

つまり、正しい相続税を計算しようと思ったら、過去にその亡くなった方が教育資金非課税一括贈与をしていないか、管理残額がないか、を確認する必要がある、ということになります。

相続税の申告で他の相続人にバレる

この教育資金非課税一括贈与は、祖父母がお孫さんに贈与するケースが多いと思われます。

通常、お孫さんは祖父母の相続人ではありませんが、そのお孫さんへの贈与に相続税が課税される(可能性がある)ということは、相続人ではない孫が相続税の申告をしなければならない、ということになります。

相続税の計算構造は、まず全体の財産に対する税額を計算してから、それを各相続人等に按分(配分)する、という流れになっているため、各相続人等がバラバラに相続税を計算することはできず、一般的に、相続税の申告は財産を取得した相続人等が共同で提出します。

他の相続人が申告内容を把握すれば、孫に教育資金非課税一括贈与があったことがバレます。

相続税が課税されるかどうかは贈与時期によって異なる

この教育資金非課税一括贈与の特例は、税制改正により何度も内容が変更されています。

したがって、この時期の贈与だったら相続税は課税されない、この時期だったら課税される、ということが起こります。

また、もらった人が23歳未満等だったら課税されない、というような取扱いもあります。

そして、それは、その贈与がいつあったかにより変わります。

拠出時期 ~H31.3.31 H31.4.1
~R3.3.31
R3.4.1
~R5.3.31
R5.4.1~
①管理残額に対する相続税課税(下記②以外) 課税無 死亡前3年以内の非課税拠出分に限り課税有 課税有 課税有
②同上(受贈者が23歳未満である場合等) 課税無 課税無 課税無 課税有※
③相続税額の2割加算 適用無 適用無 適用有 適用有

※死亡した贈与者の相続税の課税価格の合計額が5億円以下である場合には「課税無」

想う相続税理士

上記の表の一番下にあるとおり、もらった人がお孫さん等の場合に適用される、相続税の申告における「相続税額の2割増し計算」については、当初は「適用無」とされていましたが、R3.4.1以降拠出分については、「適用有」となりました。