相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続発生後、ご遺族の方が、未支給年金をお受け取りになった場合の、課税上の取扱いについて、お話します。
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亡くなった方に支給されるべきであった年金は遺族に支給される
国民年金の老齢基礎年金や厚生年金の遺族厚生年金をお受け取りになっていた方が亡くなった場合、その未支給部分については、一定のご遺族の方が請求することにより受け取ることができます。
請求すると、後日「未支給年金・保険給付振込通知書」というはがきが届き、指定された口座に未支給年金が振り込まれます。
国民年金の老齢基礎年金に係る未支給年金は相続税の課税対象にならない
国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
未支給の国民年金に係る相続税の課税関係
【照会要旨】
老齢基礎年金の受給権者の相続開始時に当該死亡した受給権者に係る未支給年金がある場合に、当該死亡した受給権者に係る当該未支給年金を配偶者等が請求することができる権利(以下「未支給年金請求権」といいます。)は相続税の課税対象となる財産に含まれますか。
【回答要旨】
未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給年金を自己の固有の権利として請求するものであり、当該死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはなりません。
なお、遺族が支給を受けた当該未支給年金は、当該遺族の一時所得に該当します。
国民年金の老齢基礎年金に係る未支給年金は、相続税の課税対象ではなく、所得税の課税対象(一時所得)になります。
更生年金の遺族厚生年金に係る未支給年金も相続税の課税対象にならない
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.1605 遺族の方に支給される公的年金等
厚生年金や国民年金などの遺族年金
次の法律に基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給は、原則として所得税も相続税も課税されません。
国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法
(注)これらの法律に基づいて支払を受ける年金の受給権者が死亡した場合において、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうちまだ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、その受給権者の遺族で一定の要件に該当する人がその人の名前でその未支給年金の支給を請求することができます。
この遺族が支払を受ける未支給年金は、その遺族の固有の権利に基づいて支払を受けるものですので、その遺族の一時所得の収入金額に該当します(これらの法律の規定により課税されないものとされているものを除きます。)。
亡くなった方が生前にお受け取りになっていた遺族年金は、相続税・所得税の課税対象になりません。
また、その遺族年金をお受け取りになっていた方が亡くなり、その未支給部分をご遺族の方がお受け取りになった場合には、相続税の課税対象ではなく、一定の場合を除き所得税の課税対象(一時所得)になります。
想う相続税理士
これは、ザックリ言うと、相続人ではない被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から、未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解されることから、未支給年金請求権は相続税の課税対象にならない、と考えられています。