【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

非上場株式の評価における表示単位未満の端数処理の明確化の改正に注意

相続税専門税理士の富山です。

今回は、同族会社の株式等の非上場株式(取引相場のない株式)の評価に関する通達改正について、お話します。


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発行済株式数が多いと1株当たりの金額が1未満になりゼロになる?

相続で、または、贈与により非上場株式を取得する場合、その非上場株式を評価して、相続税や贈与税の課税対象を計算することになります。

非上場株式を評価する場合、「1株当たりの○○」を評価明細書上のいろいろな箇所で計算します。

1株当たりの資本金等の額とか、1株当たりの純資産価額とか、もちろん、最終的な株式の評価額も1株当たりの金額です。

会社全体の純資産価額が300万円で、発行済株式数が100株だとすると、1株当たりの純資産価額は3万円です。

もし、発行済株式数が1,000万株だったら、1株当たりの純資産価額はどうなるでしょうか?

300万円/1,000万株=0.3円となります。

このような場合、今までは端数切り捨てにより「0円」となることがありました。

国税庁HP(一部抜粋加工)
1従来の取扱い
相続、遺贈又は贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に当たっては、次の評価明細書の各欄の金額は、各表の記載方法等に定めがあるものを除き、各欄の表示単位未満の端数を切り捨てて記載することとしている
・「第3表一般の評価会社の株式及び株式に関する権利の価額の計算明細書」
・「第4表類似業種比準価額等の計算明細書」
・「第5表1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」
・「第6表特定の評価会社の株式及び株式に関する権利の価額の計算明細書」
・「第7表株式等保有特定会社の株式の価額の計算明細書」
・「第8表株式等保有特定会社の株式の価額の計算明細書(続)」

同じ純資産価額でも、発行済株式数が少ない会社だと、株価が計算されて税金が課税され、発行済株式数が多い会社だと、株価が端数切り捨てによりゼロになり税金が課税されない、なんてことが起こり得ます。

「これはオカシイ」ということで改正がありました。

端数は切り捨てず分数や小数(0.・・・)で計算する

国税庁HP(一部抜粋加工)
評価明細書の各欄の金額のうち、各表の記載方法等において、表示単位未満の端数を切り捨てることにより0となる場合に、次のイ又はロにより記載することとされているものについては、当該端数を切り捨てず、分数により記載する(納税義務者の選択により、当該金額を小数により記載することができる。)こととした。また、当該金額を小数により記載する場合には、次のイ又はロの区分に応じ、小数点以下の金額のうち、それぞれイ又はロに掲げる株式数の桁数に相当する位未満の端数を切り捨てたものを当該各欄に記載することとした。
イ 分数等(課税時期基準)
課税時期現在の発行済株式数
ロ 分数等(直前期末基準)
直前期末の発行済株式数

計算結果が1未満になっても、分数や小数により記載する必要があります。

既に通達改正の適用時期は到来している!

この改正は、令和6年1月1日以後に、相続で、または、贈与により取得した非上場株式の評価について適用されます。

古いソフトで計算すると間違えます。

想う相続税理士

(当然ですが)株数が多くない場合でも、計算結果が1未満になる場合がありますので、ご注意を。