土地の評価は筆毎で考えないが相続は筆毎に考える
隣り合っているA土地(西側)とB土地(東側)がある場合、A土地とB土地はそれぞれ別の地番だからと言って、相続税の申告において別々に評価する、というワケではない。
例えば、亡くなった方のご自宅がA土地とB土地の上に建っていて、ご自宅の土地建物を同居していた長男が相続する、というような場合、そのA土地とB土地は1つの土地として評価する。
そのご自宅を取り壊して、A土地を二男が相続し、B土地を三男が相続する、という場合、A土地とB土地は別々に評価する。
さらに言うと、亡くなった方のご自宅がC土地の上に建っていて、そのご自宅を取り壊して、「西側半分」を長女、「東側半分」を二女が相続する、という場合、C土地は1筆の土地(1つの地番の土地)だが、「西側半分」と「東側半分」に分けて評価する。
「西側半分」と「東側半分」を明確にするためには、つまり、「『西側半分』の土地」と「『東側半分』の土地」をそれぞれ別々の土地とするためには、C土地を「切る」必要がある。
図面上・登記上1つの土地となっているC土地を半分に切って、西と東に分けるのである。
これを「分筆」と言う。
遺産分割協議前・相続登記前に分筆する
C土地を分筆してD土地(西側)・E土地(東側)とすれば、D土地を長女が相続し、E土地を二女が相続できる。
遺産分割協議書にも「D土地は長女、E土地は二女」と書けばいいので、分かりやすいしラクである。
ただし、分筆には時間がかかるため、早目に(余裕を持って)遺産分けの話し合いを進める必要がある。
分筆を後回しにすることも可能だがリスク有
この場合、遺産分割協議までにC土地を実際に分筆はしないにしても、測量をして、正確な分筆予定図面を作成しておく必要がある(しておいた方がいい)。
通常、測量をすると、土地の登記簿上の面積が実際の面積と異なることが判明する。
C土地とD土地の申告面積が、実際に分筆した後に判明した正確な面積と異なることが分かると、相続税の申告をやり直さなければならなくなる場合がある。
遺産分割協議書の面積も間違っていた、ということになる(面倒くさいことになる可能性がある)。
また、そもそも、分筆予定図面がないと、遺産分割協議書で土地を特定できない。
分筆予定図面があったとしても、素人が作成した不正確なモノであると、面倒くさいことになる可能性がある。
共有で相続し、相続後に共有物分割をする場合にも、面積のズレによる同様のリスクがある。