【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

養子縁組後に離縁した場合の相続税申告における注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続で財産を取得した方の中に、亡くなった方と養子縁組をし、その後、離縁(養子縁組を解消)した方がいらっしゃる場合の、相続税の申告における注意点について、お話します。


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相続税額の2割加算

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4157 相続税額の2割加算
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

上記のタックスアンサーを読むと「①相続、遺贈」「②相続時精算課税に係る贈与」によって財産を取得した人について、「亡くなった方の一親等の血族及び配偶者」に該当しない場合には、相続税が2割増しで計算される、と書かれています。

この「①相続、遺贈」の時点では「亡くなった方の一親等の血族及び配偶者」に該当しないけれども、「②相続時精算課税に係る贈与」の時点では「亡くなった方の一親等の血族及び配偶者」に該当する、というケースがあります。

養子縁組→相続時精算課税贈与→離縁→相続の場合

上記のケースに該当するのは、亡くなった方と養子縁組をし、一親等の血族となり、相続時精算課税贈与により土地Aを取得し、その後、離縁(養子縁組を解消)し、相続が発生した、その相続の時には養子ではない=相続人ではないが、生命保険金Bを受け取った、というようなパターンです。

この場合、生命保険金Bは、「①相続、遺贈」により取得したモノであり、その時には「亡くなった方の一親等の血族及び配偶者」に該当しないため、相続税額の2割加算の対象になります。

それに対して、土地Aは、「②相続時精算課税に係る贈与」により取得したモノであり、その時には「亡くなった方の一親等の血族及び配偶者」に該当するため、相続税額の2割加算の対象になりません。

相続税を2割加算の対象と対象外の金額で按分する

相続税の計算の仕組み上、土地Aの相続税はいくら、生命保険金Bの相続税はいくらと、それぞれの財産に係る相続税が個別に計算されるワケではありません。

「全体の財産=土地A+生命保険金B」に対する相続税が計算されるのみです。

しかし、個別に相続税額の2割加算を計算する(または、しない)ためには、土地Aの分の相続税と、土地Bの分の相続税を分けなければなりません。

この場合には、「『全体の財産=土地A+生命保険金B』に対する相続税」を、土地Aと生命保険金Bの評価額の比で按分します。

その上で、生命保険金Bについて按分計算した相続税についてのみ、2割増しの計算を行います。

想う相続税理士

上記の生命保険金Bは、離縁した後の「相続人ではない時」に取得したモノですので、死亡保険金の非課税枠(非課税限度額)の適用はありませんので、ご注意を。